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不登校児だったわたしの義務教育終了は「10分間の卒業式」


3月に入り、卒業の話題を多くなりました。
昨日は高校の卒業式が多かったようですね。

自己紹介にも書いている通り、小学校高学年から不登校をしていたわたしは、最終学歴は1ヵ月間しか行かなかった札幌の公立中学校です。

中学校3年間で通算2ヵ月くらいしか登校していなかったのですが、特にもめることなく中学校を卒業することになりました。

ただ、学校側の要望で、
「卒業式への参加は見合わせて欲しい」
とのことでした。
学校にまったく行かなくても卒業できることがわかると、他の生徒に悪い影響を与えることを心配されていたようです。

そんなわけで、校長室にて、わたしと母親と、担任と校長と、4人で10分間ほどの卒業式でした。

これは、その後すぐに書いたポエムです。

10分間の卒業式


10分間の卒業式(実物)

10分間の卒業式(実物)

10分間の卒業式

卜部 美佳子


「これから大変だね」と、先生が言った
「でも、わたしは平気だから、大丈夫です」と、わたしが答えた
それがわたしの卒業式
10分間の卒業式
りっぱなカバーに包まれた
たった一枚の紙切れ
9年間の義務教育の終了
卒業の意味を考えたい
学校の意味を考えたい

目標を見つけることができたら
きっとハンディも平気になれる
だから大丈夫とわたしは信じる

担任の先生がとても恐縮していたこと。
最後に校門を出て校舎を振り返って「こんなもんか」と思ったこと。
もう四半世紀前のことなのに、光景をよく覚えています。

帰宅してすぐに書いたこのポエムは、中3から通っていたフリースクールさとぽろの「さとぽろ通信」、広辞苑以上に分厚い「子どもが語る登校拒否(世織書房出版)」、さらにNHKラジオの特集番組で紹介されました。

また、さとぽろで子どもたちの体験を元にして創作した劇「白い線路」の冒頭にも使われました。
真面目なわたしは教師役で、当時の担任を思いながら演じました。

卒業はした方がいい

中学校の卒業は、現状では校長の裁量になっています。
(今後、多様な教育機会確保法案などで変わってくるかも知れません)

学校から「登校しないと卒業を認めません」と脅されるケースも当時聞きました。

また、当事者も保護者も、「もう一度3年生をやり直せば行けるかもしれない」と留年を希望することもあります。

しかし、わたしは卒業することをすすめます。

環境を変えるだけで解決することはあります。

不登校に関しては、そのクラスの人間関係に合わないのか、その学校に合わないのか、そもそも学校というシステムに合わないのか、試してみないとわかりません。

その為に10代の貴重な1年を賭けることはありません。
さっさと学校そのものを出てしまいましょう。

社会は、学校しか知らない人が思っているより多様性があるのです。
どこかにもっと楽に生きられる場所があります。

梨木香歩さんの名作「西の魔女が死んだ」の中にもこんな台詞があります。

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」

環境を変える時は、思い切って変えましょう。

卒業させないと言われたら

ネット上のQ&Aサイトを見ていると、いまだに学校に行けず苦しんでいる子どもに対して、
「学校に毎日来ないと卒業させない」「留年させる」
と脅しをかける学校はあるようです。ガッカリしますね。

中学、留年したくないです。 - Yahoo!知恵袋

現時点では、法律で義務教育の留年条件は定められていません。
もしも、そんな脅しをかけられたら、不登校の現場に長く関わっている機関に相談しましょう。
助けになってくれます。

ちょうど、不登校新聞では卒業に関する特集が組まれていますね。
卒業式に出席したか、欠席したか?
出席した人の感想は? 欠席した人の感想は?
わたしもアンケートに回答しました。


卒業したらプー太郎になったけれど

当時、ちょっと気にしていたのは、中学在学中は「不登校児」だったけれど、卒業すると「ただのプー太郎」になることでした。

まだニートという言葉がありませんでしたからね。

フリースクールには17歳まで通っていたけれど、あれは私塾扱いだったので学籍ではなかったのです。

卒業したわたしは、週4日くらいフリースクールに行き、札幌のアマチュア演劇に入りびたり裏方をしたり月に何本も芝居を見たり、ひたすら家でゲームをしたり、ゲームサークルでテーブルトークRPGをして後々の夫と出会ったりしていました。

アルバイトも徐々に始めて、最終的には20歳で上京して劇団現代座、後のNPO現代座に入ります。

その詳細はまた別記事にしますが、とにかく何かやっていれば道はできていくし、休みたければ休んでいいのです。

卒業おめでとう

学校に行かなかったあなたも、行っていたあなたも、卒業おめでとう。

社会は厳しいようで、意外とやさしいです。
色んな人がいて、色んな場所があります。

あなたの道を作りながら進んでいってください。

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