元不登校児の17歳と14歳の姉弟が書いた「独断と偏見による!楽しい昼夜逆転の仕方」(再掲)


これからご紹介する文章は1992年当時、フリースクールさとぽろで発行している通信に寄せて、17歳のわたしと14歳の弟とで書いたものです。
わたしは小5から、弟は小3から不登校をして、中学校卒業までほとんど学校には行きませんでした。
するとみるみる昼夜逆転の生活になっていったのですが、それについて外から色々と意見されることがあり、反論として書いたものです。
一時は個人的に作ったホームページに載せていましたが、内容を整理した際に外していたので、こちらに再掲します。
表現がやたらカジュアルですが、中高生ぐらいの子が身内の通信に向けて書いたものだとご了承ください。


独断と偏見による!!楽しい昼夜逆転の仕方

登校拒否をしていると、昼夜逆転になることがあります。

これはなぜか、というと
「朝おきる必要がない」からです。
「朝おきてもヒマ」だからともいえますな。

では、「夜おきている間」はひまではないのか?

まず、まわりが静かなので、考え事をしやすい。自分だけの「自由」に使える時間がある。
昼間だと、周りもうるさいし「日常~」という空気があって、考えごとも読書もゲームもどこかしらけやすい。

そんなわけで、昼夜逆転の生活を、私たちはほぼ5年間にわたり送ってきた。
全部の日がそうだったわけではないが、午前に寝るというパターンは8~9割を確実に超えている。
では、私たちのその経験から学んだことを、ここに少しばかり紹介しよう。

それでは、どんなことを心がけていると、楽しい昼夜逆転生活を送れるでしょうか?

  1. したいことをする。
  2. 他人にメーワクをかけない。
  3. ひらきなおる。

その1 「したいことをする」

とにかく、やりたいことをやる!
今まで学校に行っていてできなかったことをやる!
やりつくすまでやる!
ファミコン、読書、詩を書いたり、マンガや、イラスト、小説を書いたり…なんでもおじゃれ。

※特にわたしがすすめるのは1行日記。
後で読み返すと「この頃はあのゲームか~」「こんなこと考えてたのか~」と、いろいろな発見があって面白いぞ。

だが、しかーし……

その2 「他人にメーワクをかけない」

昼夜逆転生活は、家族に多少メーワクをかける。
「ふとんがほせない」「そうじができない」「食事のリズムが合わずかたづかない」等々。
が! ここはその3にのべるがひらきなおる。わたしは他人にまったくメーワクをかけずに生きている人を見たことがない。
しかし! 非常にメーワクなるメーワク、本当にメーワクきわまりないメーワクには注意しなくてはいけない。
ねている人を起こすよーなマネはやめよう。
大声をあげたり、TVやラジオ、CD等の音量……そんなことには要注意だ。
夜は静かなので昼間はなんでもない音でもよく響く。イヤホン等を使うのがベストだろう。

ねている最中におこされると非常に腹が立つ。
朝、うとうとしている時に「いつまでねているの!」攻撃をくらった時の、あの気分を思い起こせばよい。
親だって人の子だ。イライラするとロクなことがない。
「朝おきて学校に行きなさい」と言いだすかもしれない。
だから周りの安眠は妨げないよーにしよ~ね。

※フォロー
周りの負担を軽くするために……
ふとんをほしたり、そうじをしたり、夜食をつくったり、自分でやるといいと思うぞ。(あたりまえだけど……)
それから、気の向いた時に、食器などの後かたづけ等を、「くつやとこびと」のこびとさんになったつもりでやってみよう。
これだけでも、昼夜逆転を見る親の目を変えるきっかけになる……かもしれない。
それはおいても、家事の手伝いは、周りのためにも自分のためにもなると思うよ。
「ムリしない範囲で気の向いたときに」やってみたら……?
エラソーなことを言っているけど、わたしはあまりやっていない。

そして、昼夜逆転生活のみならず、学校に行かない生活を楽しむために必要なこと……

その3 「ひらきなおる」

つまり、学校でのイヤ~なこと、全部忘れてさわぐ……じゃなくて、(さわいじゃいけない夜だもの)自分の世界にひたる。

こう言うと、周りの人に「オタク族」だの、「あんたいつまでそんな生活してるの」と言われそうだ。
だけど、「個人の世界」を認めようとしない人の言うことなんていちいち聞いてられない。
自分の居心地のいい時間というのは必要なもので、それを無理矢理取り上げて「社会的で周りにあわせようとする世界」にひっぱりこもうとする意見なんて、うっちゃっていいと思う。

どうしても説明を求められたら、
「今は学校で失われた"自分"を取り戻しているの」
と言ってのけるくらい、ひらきなおるといい。やることをやりつくしたら、外の世界にも自然と足が向く。それから……

今、興味を持っていることを深めていけば、他のものとも結びついたりして、いろんな風に変わるものだ。

まとめ

大切なのは、「今」を楽しむことだと思うなぁ。
でも、2でも言ったけど、最低限のマナーは守ろうよ。他人の自由を認めてこそ、自分の自由が主張できるものじゃないか。

今、ここで言ったことは全部わたしたちの経験から思ったこと。
他の人には、他のやり方があるかもしれん。これを読んで、違うと思ったら、その人は自分なりのやり方でやってけばいい。わたしたちの出した答えが"世界の真理"なんて思ってもいない。「自分の場合はこう思った」というだけさね。

ま、そんなわけで、あまりささいなことでとらわれずに、自分なりの昼夜逆転生活、学校に行かない生活を送ってくれ。


17 Mar 1992 弟と合作
掲載:さとぽろ通信、子どもたちが語る登校拒否-402人のメッセージ(世織書房)





上の文章から20年以上経って、結局、わたしはフリーター→劇団員→会社勤め→パート主婦→自営業になりました。
弟は小さな会社の社員として汗を流して働きつつ、さとぽろとは別のフリースペースでボランティアをしたり、ギターを弾いたりしています。

自分が母親になってみて、子どもが学校に行かずずっと家にいるという状況は、相当にしんどいこともわかってきました。(まだ未就学ですが)

それでもあの数年は必要な期間で、それを認めてくれた親や、仲間たちに感謝しています。

今や、昼夜逆転したままでも、家から外に出なくても、できる仕事はある時代。
もし、子どもが不登校や引きこもりから昼夜逆転になったとしても、無理をして「正常」に戻そうとしないよう、過去の自分たちに訴えかけられる思いで読み返しました。

なんで、昼夜逆転じゃダメなの?

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この記事を再掲することにしたきっかけのブログ
引きこもりこそブログを書くべき!なんでブログなんか書くの?と聞かれたのでまとめてみます - なんで引きこもりじゃダメなの?

▼小学1年生から不登校になったマンガ好きな少年の物語。
状況は違うけれど、不登校あるあるな風景がたくさんあって共感しました。
いずれ、きちんとレビュー書きます


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