青森県立郷土館「刀剣魂」、抜刀演武の迫力に圧倒されてきた

青森県立郷土館入り口

青森県立郷土館入り口


ぎりぎりでした!

青森市の県立郷土館で8月28日まで開催中の特別展示「刀剣魂」、最後の週末に見てきました。

この27日は、「抜刀演武~刀のリアル」という剣術の実演もあり、たくさんの刀剣ファンが詰めかけていました。

ちらりとその様子をお伝えします。
青森に行ける人は、ぜひ今日中にどうぞ!


まずは「抜刀演武~刀のリアル~」から


抜刀演武ポスター

抜刀演武ポスター


この講座「抜刀演武」は27日のみ。

弘前から青森市まで行く途中に昼食をとったら、息子がゆっくり食べるので15分ほど開始時刻に遅れての入場でした。
まぁ、子連れとはそういうものです。

チケットを買って中に入ると、講師の外崎源人(とのさきげんじん)さんによる刀剣の解説中でした。

立ち見もずらっと並ぶほどの盛況です!


入場したら解説の途中でした

入場したら解説の途中でした


2階から見るとこんな感じ。
2階にもギャラリーの足先が並んでいるのが見えるでしょうか。


2階より

2階より

講師の外崎源人(とのさきげんじん)氏プロフィールを青森県立郷土館Facebookページより引用します。

講師 弘前藩伝 林崎新夢想流居合 外崎源人氏
 1980年五所川原市生まれ。幼少から、剣道や居合道を学ぶ傍ら、旧弘前藩刀匠家二唐俊氏(故人)、刀剣研師相馬彰氏に師事し、刀剣製作・研磨の知識を学ぶ。現在は、抜刀術および旧弘前藩の林崎新夢想流居合などの研究稽古を行い、県内や東京都内でも一般向け講習会を開催。

刀の歴史、その種類やつくりの解説の後、演舞へ。
濡らした巻藁を束ねたものを一刀両断にする試し切りと、ルパン三世で石川五右衛門が見せる斬鉄剣を実演!


鉄のパイプが真っ二つ!

「刃こぼれは一切ございません」

この刀を鍛えた山内刀匠が紹介されました。
すごい、現役でこういう刀が作られているんだ青森。

斬られた鉄パイプ、観客の手元をぐるりと一周してきました。この切断面!!


鉄パイプの切断面

鉄パイプの切断面

それから、5月に弘前の武家屋敷で行われた「武士魂」で演武をされていた卜傳流の小山さん、弘前大学古武術研究会の方々も加わっての解説付き演武。


刀は刃で受けない

刀は刃で受けない

わたしたち素人は、チャンバラの場面を見ると、刀の刃と刃を打ち合わせているように感じますが、そうではない!とか。

マンガで見られるような居合のポーズは実戦には不向き。腕で抜くのではなく、腰で抜く!とか。


居合抜きの演武

居合抜きの演武

こういう演武は、時代劇をする俳優や、作家、絵描き、コスプレイヤーにまで、垂涎の内容です。

観覧している方も、20~30代くらいの女性がちらほらいました。
ゲーム刀剣乱舞きっかけの人もいるのでしょうね。


刀の長さ比較

刀の長さ比較

弘前藩・津軽信政公が研鑽した神夢想林崎流居合で使われる長刀は、一般的な刀に比べてとても長い。

この長い刀が不利な近い間合いで、どのように制するかという演武もありました。


近距離の長刀で短刀を制す!

近距離の長刀で短刀を制す!

手が届くほど近い距離で、しかも座っている状態から、あっという間に長刀を抜刀したり、相手の攻撃をそらしてから斬るところまでもっていきます。すさまじく速い!

解説しながらなのに、「え、いつ抜いたの?」とあっけにとられました。

演武に使った刀は斬れないようになっているのでしょうが、お二人の気迫のこもる様は、まさに「真剣」でした。

なお、怖がりな息子は夫と2階へ逃げていました。
息子も古武術やらないかなぁ。

この長刀を使った居合術については、林崎新夢想流居合稽古会のホームページで紹介されています。 (Jimdoで制作されていますね!)


展示「刀剣魂」で青森の刀の豊富さに目をみはる


日本刀 無銘 伝備中古青江貞次作

日本刀 無銘 伝備中古青江貞次作


展示は、もちろん写真撮影NG。
でも、入口近くのこの一振りだけ「写真撮影OK、SNS拡散歓迎、ハッシュタグ推奨」でした。
さすが、わかってらっしゃる。

「日本刀 無銘 伝備中古青江貞次作」、南北朝時代に作られた刀で、青森県重宝の指定を受けています。


刀の説明と撮影OK、SNS拡散歓迎の案内

刀の説明と撮影OK、SNS拡散歓迎の案内


この後は撮影不可なので、画像はありません。
ひたすら刀が並んでいます。

所蔵先を見ると、多くがこの郷土館所蔵、他、八戸、弘前、田舎館、黒石など県内各地の刀が集っています。
青森県内だけでこんなにあるのか……!

実際に手に持って、日本刀の重さを感じてみよう、というコーナーもありました。
身はケースの中なので、ちょっと持ち上げてみることしかできないようになっています。

また、弘前の巌鬼山神社に納められている刀も来ていて、「十腰内(とこしない)」の伝説が日本昔話のようなアニメで上映されていました。

ある刀鍛冶の元に若者がやってきて、娘を嫁に欲しいと言うが、実は若者の正体は龍(※)だった。
「10本の日本刀を一晩で打てたら、娘を嫁に」
と、龍は徹夜で刀を10本こしらえた。
しかし、それを見ていた刀鍛冶(※)が龍が寝ている隙に1本を隠した。
刀は「一腰、二腰」と数えるが十本目が見つからない。
そして、龍は「十腰無い…」とがっかりして帰っていった。

それで、ここは「十腰内」になった。

(※龍→鬼、刀鍛冶→娘という説もあります)

というお話しです。

実際にはトコシナイというアイヌ語由来の地名に意味を当てるための昔話という説もありますが…。

そうそう、道産子的にはアイヌの刀が数本あり、しかも「村正」と刻まれたアイヌの山刀ものがあるのが興味深かったです。

あの、村正なのか。それとも「村正=すごい刀」と認識しているアイヌの刀匠がそう刻んだのか…。

日本刀、短刀、太刀、薙刀などずらりと並び、最後の方にリンゴの剪定鋏があるのがまたよかったです。

刀匠の技術は、ここにも伝わっていったのですね。

ロビーのビデオにほっこり

展示室から出て、1階の給水所でお水をいただいていると、何かおもしろいビデオが流れていました。


1階ロビーのビデオ上映

1階ロビーのビデオ上映

動画の内容は撮影NGでしたが、現代に伝わる刀由来の言葉を楽しく解説されています。

あれ、あの人ってもしかして……。

なかなかゆるい感じで楽しめますので、行った人は最後にこちらも見て和んでいってください。

特別展示「刀剣魂」は8月28日までです!

見ようか迷っていたという人は、見ておくべきですよっ!

▼関連記事▼




Facebookはこちら