出会ってから12年後に結婚した気の長い夫婦が読む「喰う寝るふたり 住むふたり」

「喰う寝るふたり 住むふたり」5巻より

「喰う寝るふたり 住むふたり」5巻より


「くうねるところ すむところ」と言われれば、
即座に「やぶらこうじ ぶらこうじ」と返す斎藤です。
子どもの頃、「寿限無」の名前を暗唱しては祖父母にほめられるのが楽しみでした。

それはさておき、「喰う寝るふたり 住むふたり」です。
表紙とタイトルにつられて読み始めたコミックスですが、あまりにも長すぎる同棲カップルあるあるネタ満載でした。
上の1コマもわーかーるーわー、と激しくうなずきましたね。
そんなマンガのご紹介。

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10年目の同棲カップル、男女の視点から描く日常の物語

町田りつ子と野々山修一は交際10年、同棲生活8年目。
恋人以上、夫婦未満の三十路直前カップル。
そんなふたりに起こるちょっとした日常を
男女両方の視点から描いた恋愛ザッピングストーリー。

「りつ子」と「のんちゃん」、高校生からの付き合いで、2DKのマンションに暮らしています。
1つのエピソードを、「りつ子」視点で1話、「のんちゃん」視点で1話と視点を交互に替えながら描いていきます。
なぜそこでキレるのか?
会っていない間に何があったのか?

交互に読んでいる読者だけが真相を知っている、という仕掛け。

彼女が合コンに出た、とか、
故郷の同窓会に参加した、とか、
彼にアプローチしていた女の子がいた、とか、
わりとどこにでもある普通の話し。

気づけばセックスレスになり倦怠期じゃないかと悩んだり。
「結婚」にいま一歩踏み切れないでいるうちに、周りが結婚していったり。

長いつきあいをしているカップルのあるある話し過ぎて、他人事とは思えませんでした。

思えば気の長いお付き合いでした(遠い目)

わたしも、夫とはつきあいが長い方です。
現在、わたしが40歳、夫は43歳。
出会った時は15歳と18歳。
つきあい始めたのが19歳と22歳。
半年後からわたしが上京して劇団に入り、遠距離恋愛になって3年半。
それから、彼も東京に出てきて同居した時が23歳と26歳。
同居と言いつつ、わたしが地方公演やその準備で不在な期間が多かったので、
「故郷に帰る」と彼が言い出して、あわてたわたしが、
「じゃあ、北海道でいっしょに暮らそう。引っ越しするから籍も入れよう」
結婚したのが27歳と30歳。
息子が産まれたのが35歳と38歳。
夫の地元・弘前に家族で移住したのが38歳と41歳。

……長いですね。
出会ってから20年後になって、やっと子どもが産まれてます。

トントンと進んだカップルなら、19歳でつきあい始めてから、23歳ぐらいでママになっていそうです。

そして、結婚への経緯が、まさに1枚目のコマの通りでした。
だって、同棲カップルで新たに不動産借りるのって面倒よ?

そんなに重くない結婚の決断もある

この記事を書くにあたってAmazonのレビューを見ていたら、第1巻には結構辛口の意見も出ていました。
喰う寝るふたり 住むふたり 1(ゼノンコミックス)

一、二巻同時購入しました。
帯に「交際10年、同棲8年目」とあったので、
何か障壁でもあるのかな、その辺りの葛藤も描かれているのかな?
と思って購入したのですが、実際は「してもしなくても紙一枚の問題だし」
でした。
そこの掘り下げを期待していたのでちょっとがっかり。
あと、タイトルに「喰う」とあったので
美味しそうな料理や食べ方の描写も期待していましたが、そこは期待外れでした。
1・2巻とも、ただただ「2人の世界の中で起こる日常のちっちゃなことで、すこしのすれ違いや引っ掛かりはあるけれど、特に話し合うでもなく、相手を好き・大切に思っていることを再確認する日々///」という内容。
これを10年積み重ねて、何故結婚しないの?不思議…主人公たちのいう結婚しない(してない)理由が弱い。あえて事実婚を選択します!という意思があるわけでもなし、結婚や相手より優先したいもの(仕事、趣味、家庭の事情など)もなし。

結婚って、みんながみんな、ドラマチックではないと思うのですがね、現実は。
結婚した当時の日記を振り返ってみると、
Alternative Note: 2001年11月
福岡公演終わった!→東京ドームでPRIDE観戦→引っ越し→片付け→写真撮影→両家の会食→翌日から静岡公演に出発です。
新婦、結婚翌日から不在です(笑)。

結婚しなかったのは、この先劇団の仕事をずっと続けていきたいわたしと、いつかは弘前に帰りたい夫との間で手探りしてたからだし。
結婚してからも通り名は別姓だったり、共働きで別々の財布から共益費を出し合う夫婦でした。
同棲の頃のまんまですね。
家計とか家族、という概念が出てきたのは、結婚8年後に妊娠→出産をする頃でした。

だから、結婚って本当に紙切れ1つの問題だと思ってましたよ。
さいわい、お互いの両親ともに、結婚や出産を勧めてこなかったので、のんびりしてました。

1巻目で合わないと思った人は早々に見切りをつけたのでしょう。
最終巻の第5巻には高評価なレビューが並んでいます。ネタバレ含むのでリンクは貼りませんが。

最後に現れる第三の視点にやられた



最終話、りつ子とのんちゃんを見守る第三の視点が現れます。
それを読んで、不覚にもウルっと来ました。
上の写真は、札幌で11年暮らした部屋を退去する時に撮影したものです。
転勤族だったわたしにとって、もっとも長く暮らした部屋でした。
出産後はわやくちゃになって泣いたりもしたけど、思い出深い部屋です。
「ありがとう」って、やっぱり言いましたよ。

結婚していてもしていなくても、パートナーと長いつきあいで恋心を忘れかけている人に、特におすすめのマンガです。


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