「弘高ねぷた」という伝統行事が青春すぎてアラフォーオカン涙目
弘前高校のねぷた運行「弘高ねぷた」を見ると、いよいよ弘前ねぷた祭りが近づいていることを実感します。
この弘前周辺エリアでは一番の進学校である弘前高校、なぜか、期末テストが終わると短期間でねぷたを1から作り上げ、弘前の中心地を練り歩きます。
その時間帯は、弘前のメインストリートや歓楽街の一部が、しっかり交通規制をかけられ車両進入禁止になります。いち高校の行事にです。
弘高出身の夫に、その熱い夏のメモリーを聞きながら、工夫をこらしたねぷたを見物してきましたよ。
弘高ねぷたとは?
弘高ねぷたについて聞いたことをまとめるとこんな感じです。
- 弘前高校文化祭の前夜祭として運行される
- ねぷたは組ねぷた(人形ねぷた)+前灯籠で、クラスごとに作る
- 運行は弘前高校から出発して、中央通り~弘前郵便局~まちなか情報センター~中三~弘前高校
- 18:30のまだ明るいうちから出発し、20:30には終わる
- お囃子は弘前ねぷた囃子、かけ声も「ヤーヤドー」と伝統的だが、節の最後に跳ねたりもする
- 第1回は1953年(昭和28年)、今から60年以上前という伝統行事
- 在校生の家族・友人はもちろん、OBOGも、関係ない市民も沿道に集って観覧する
- 運行は地元メディアがネットでライブ中継も行う
- ねぷたは毎年毎年1から作る
- 製作期間は期末テスト後の10日間前後
- 文化祭の準備も同時並行
- 昔は学校に泊まり込んでねぷた製作する生徒がいた
- 泊まり込み作業禁止の後は、教師が泊まり込んで見張っていた
- 泊まり禁止の後は朝5時から(または未明3時から)作業していた
- 現在は授業開始前の作業禁止
- 運行終了後のねぷたは希望する町の団体に払い下げられる
- しかし、払下げは抽選制なので、何年生のねぷたが当たるかで一喜一憂する
- ねぷたを作りたくて弘前高校に受験がんばって入ってくる生徒がいる
- 弘高ねぷたがきっかけに、職業ねぷた師になる生徒もいる
- 過密なねぷた製作と浴衣を着てのねぷた運行で恋が生まれる通称「ねぷたマジック」
…なんだこのネタの宝庫。
Wikipediaの説明からも引用しておきます。
弘高祭(文化祭)
弘前ねぷたまつりの前に行われている。弘高祭の初日に行われるメインイベントの「弘高ねぷた」は、創立70周年を記念して初めて運行され、以来毎年弘高祭で運行されている。当初は大型ねぷた1台のみであったが、現在は各クラス1台のねぷたと前灯篭を製作し、クラスごとに囃子をつけて運行されている。通常のねぷたであれば、製作に数ヶ月もの時間をかけ、骨組みも既成のものを使用するのが普通であるが、弘前高校のねぷたは制作期間は約10日から11日と短く、その期間で本体の土台や人形の骨組み、紙貼り、蝋付け、色塗りを行う。これは学業とのけじめを厳しくつけさせるためである。また、弘高ねぷたは人形ねぷたであり、弘前ねぷたまつりで主流となっている扇ねぷたではない。(後略)
(青森県立弘前高等学校 - Wikipediaより引用)
扇ねぷたというのは、弘前のねぷた祭りで9割以上を占めるこのタイプです。
組ねぷた(人形ねぷた)は、このように立体型です。
青森のねぶたはこれをもっと大型にしてますね。
どうして弘高ねぷたは扇型ではなくて組ねぷたなのか??
弘前のねぷた祭りでは、組ねぷたもあるけれど、ほぼほぼ大型ねぷたは扇型です。
では、なぜ弘高ねぷたは扇型が無く、すべて組ねぷたなのでしょう?
ヒントは、必殺ねぷた人棟梁のブログにありそうです。
まずは人形ねぷた。 その制作は何と言っても、作業量が桁違いに多い。
少なくとも一ヶ月以上は、手の込んだ作品ならば数ヶ月はかかってしまう。
特に手間のかかるのが、紙貼りの作業である。 針金や竹で組まれた骨組に一マスずつ和紙を貼っていくわけだが、
そのマスの数は一体の人形ねぷたで軽く千マスは超える。また、この骨組を組むのもなかなか大変な作業だ。
さらには、内部に設置する電球は四、五百個、土台に貼られる絵の枚数は二百五十枚以上と、 すべてが桁外れで、とても手間と時間がかかる。
けれども、骨組を作る作業以外は、どれも難しいものでは無く、
器用な子なら中学生にもなれば、立派に作業に参加できる。人形ねぷたは「手間がかかる」と言われることが多いけれど、
違う言い方をすれば、「様々な世代のたくさんの人間が作業に参加できるねぷた」とも言えると思う。
さらに弘高ねぷたについてのコラムもあります。
それは、前回で述べた人形ねぷたの制作作業の特徴が関係していると思う。
彼らの制作意欲が、人形ねぷた制作の膨大な作業量の多さを上回っているのだろう。
現在、弘前高校では、二週間足らずで、一クラス一つの人形ねぷたを制作している。
一クラス四十人余りの手が、夢中になってねぷたを作っているのだ。
共同作業がしやすく自由な発想ができるという組ねぷたの特長が、弘高ねぷた=組ねぷたの伝統を作ってきたということはうなずけますね。
わたしも昨年、必殺ねぷた人のりんご飴マンねぷたの紙貼りに参加させてもらいましたが、初心者でもできることがたくさんありました。
運行前日のせっぱつまった感すごい
こちらには運行前日に弘前高校地下駐車場で撮影された制作風景とインタビューがあります。
前日でこのへんだったのか! よく間に合うな!! と驚くのでぜひ見てください。
そして迎えるねぷた運行日
わたしたちは、もう終盤の帰り道の方でちょっと見ることができました。
ここも交通量が多い道路ですが、進行沿いは車両進入禁止、交差する道も制限がされています。
上の動画の最後の方では、ねぷたの切れ目に車をちょっと通してますね。
ねぷたの先陣を切る前灯籠は、人気のキャラクターものが多く、子どもたちが喜んで見ています。
続く組ねぷた、こちらは3年生のクラスで色彩がみごとでした。
中には点いているはずの灯りが一部ついてなかったりして、間に合わなかったのか、運行の途中で配線が切れてしまったのか…。
義理のお兄さんも弘高出身ですが、配線など機構を担当する「営繕係」というのをしていたそうです。
せっかく灯りを隅々まで配線したのに、スクランブル交差点でねぷたをグルグル回されすぎて線がブチ切れて暗いねぷたになってしまったとか。
今年はそこまでひどい目にあっているねぷたは見かけませんでした。皆さんがんばった!
高校生+ねぷた+浴衣という最強コンボに大人も甘酸っぱい気持ちに
見ている人も見ていない人も、思い出にふける人も、様々なつぶやきが流れていました。
弘高ねぷたで交通規制かかって、てなってたけど、
— あんじゅ (@Lollipop_a_) 2017年7月19日
男の子が女の子のほどけたたすき結んであげてる姿を見てかつな気分になりました。
高校生って素晴らしい。キュンをありがとう
今宵は母校のねぷた祭りか!( ´ ▽ ` )ノヤーヤドー
— ハーーナ殿下@小説家になろう青森県弘前市 (@hanadenka) 2017年7月19日
明日は弘高ねぷたの日と聞いてあれからもう4年経った事に気づいた
— 与式F (@theworld0826) 2017年7月18日
照りつける陽射しにドリルとトンカチの音、手に付いたボンドとペンチで針金を切る感触、地下駐のこもった蝋と塗料の匂いに夏の匂いが混じり合った、あの時あの瞬間こそが青春だった pic.twitter.com/WGPRZVjCh4
「ねぷたマジック」で恋も生まれる?
とにかく、ねぷたと文化祭準備で濃密な夏を過ごすうちに、恋がめばえちゃったり実っちゃったりもあるそうで。
参考リンク⇒夏だ!恋だ!祭りだ! 弘高ねぷただ!! - NAVER まとめ
このまとめを作った人は、昨年のあおもりメディアラボWebコースの学生だったので、たぶんOBなんでしょう。
弘前高校、1クラスで1ねぷた+前灯籠を約2週間で作る夏。
— さいとうみかこ(うらべっち) (@urabetti) 2017年7月19日
作業に明け暮れる男子に校内で炊き出しして差し入れする女子とか、
ねぷた前後でカップルできるとか、
泊まり込み作業を防ぐために先生が交替で宿直とか、
ねぷたの活躍ぶりでクラス内ヒエラルキー変わるとか聞きますが本当ですか。
現在大学生のOGさんからの証言。
わたしの時代はもうそういうのはなかったですね…ねぷたマジックでカップルできたり、意外な子が力発揮してすごーいくらいですかね…
— つしま (@NKGycCnnFqGmJyk) 2017年7月19日
泊まり込みとかは昔の話でよく聞いてましたよ
いまは授業前の朝の時間も作業できません
早朝作業もNGになってるんですね。
夫より数年後のOBの方からも。
平成一桁半ばの卒業なんでずいぶん昔ですが、炊き出しは自粛、先生の宿直はありました(普段は宿直は向かいの自転車屋のおっさんが大部分のローテーションに入ってる)。
— @m2ominato (@m2ominato) 2017年7月19日
カップルはいたりいなかったりです。
ヒエラルキーという概念自体、僕はあまり感じなかったような。
ありがとうございます。夫はH2年卒で炊き出しのことを言っていたので、数年の間に変わったのかもしれませんね。
— さいとうみかこ(うらべっち) (@urabetti) 2017年7月19日
ヒエラルキーは言葉を盛ってしまいましたが、
「普段地味で目立たないやつが活躍して見直されたり、
でかいことを言ってるやつが作業しなくて信頼度下がったり」
という話しでした。
なお、夫に「ねぷたマジックあった?」と聞いてみたところ、
「俺らの世代は女子が3割くらいしかいなかったので、そういうねぷたマジックとか言葉もなかった」
とのことでした。ちーん。
「ねぷたマジック」と言われ始めたのも、ここ数年のことなのかもしれないですね。
もちろん、そういったリア充的なイベントに乗り気じゃない生徒もいるのでしょうけど、みんなが浴衣を着てお囃子を鳴らして叫び跳ねる姿に、もう母親目線のオカンは勝手に涙ぐみそうになるのでした。