「MORE THAN プロジェクト CARAVAN Local Talk Jam in HIROSAKI」って何なのよ?
11月30日に弘前のスペース・デネガで開催された「MORE THAN プロジェクト CARAVAN Local Talk Jam in HIROSAKI」というイベントに参加してきました。
タイトル長い。
「モア・ザン~」ってなんだっけ?
「~よりも」だっけ。
そんなわたしが、おそるおそるドアを開けたら、なんともゴージャスでオシャレな素敵空間が広がっていました。
まだ知らない弘前があった。
そんな夜でした。
たぶん、呼ばれたからには記事を書けということだと察するので、これがいったい何者がどんなことをして、どこへ向かうイベントなのかレポートしてみましょう。
リンゴ飴マンの司会でオープニングトークが始まります
ちょうど、オープニングの始まるところに入場しました。
客席は木箱、リンゴ箱ですね。
奥に見える赤い顔のリンゴ飴マンが司会役でした。
見ると横にはケータリングコーナーが。
うわ、これめちゃくちゃおいしそうなんですけど!!
- フード(軽食):パン屋といとい
- スイーツ:zilchstudio
- ドリンク:In lak'ech(インラケチ)
イベント要項には大人気の名前が並んでいます。
でも、食べられるのはトークセッションが終わってからとのことです。
おあずけ、せつない。
で、「MORE THAN プロジェクト」って何なの?
最初に経済産業省の方からご挨拶。
このプロジェクト、経産省が協力しているんですね。
そして、弘前の旅行会社たびすけの西谷雷佐さん、東京の株式会社ロフトワークの秋元友彦さんと菊地充さんによる「MORE THAN プロジェクト」と今日のイベントについての説明がありました。
まず、西谷さんとロフトワークのお二人が出会ったのは、3年まえの「だめにんげん祭りツアー」という、ひたすら旅先で飲んだくれるツアーだったそうです。
そこですっかり意気投合して、つながりを深め続けて、今回のキャラバンツアーの企画ができた時に、「東北は弘前でやろう」ということになったのだとか。
そう、このキャラバン、全国10カ所をめぐるのですが、東北ブロックは弘前のみ。
東北最大の都市である仙台(人口約100万強)を差し置いての弘前(人口約18万弱)開催です。
MORE THAN FUJIYMA, SUHI, SAMURAI, GEISHA PROJECT
正式なプロジェクト名はこちら。
これから海外に出ていく時に、既存のアイコンを超えていこう。という意味でいいでしょうか。
日本の中小事業者やクリエイターが、海外のマーケットに出ていくことを支援する。協働する。
デザイナー、コンサルタント、ディレクターが二人三脚を組んで、国の応援も得ながら海外に出て、ビジネスの取引を始める。
そんなイメージがわかりやすく描かれていました。
秋元さんの思いはこちらの記事を読んでいただくと、より伝わりやすいかと。
国の行政支援に頼らない、日本のものづくりを本気で考える人達のための「ヒト・コト・ワザ・カネ」のプラットフォームをつくりました|2016|株式会社ロフトワーク
株式会社ロフトワーク
MORE THAN プロジェクトをリードしてきた秋元が、2016年初頭、「JAPAN BRAND FESTIVAL」という取り組みを新たに立ち上げました。
そして、3年前から「MORE THAN プロジェクト」を始め、ただ海外の展示会に出展するだけではなく、実際に商談をまとめた案件が2015年度は13事業者で155件 とのことです。
しかし、一方でまだこのプロジェクトの認知が、特に地方では低い。
(わたしもここへ来るまで知りませんでした)
そこで、今年の9月のプラットフォームとしてのWEBサイトをオープンし、同時にリアルに人と出会っていくキャラバンツアーが発足した。
そして、弘前にやってきた、ということでした。
なお、次の日は福岡に行くそうです。日本広い…。
「MORE THAN プロジェクト」のWEBサイトはこちら。
MORE THAN プロジェクト | 2016年度 経済産業省 JAPANプロデュース支援事業
http://morethanprj.com/
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弘前の作り手たちが語るトークセッションにうなる
続いて、地元のクリエイター、製作事業者によるトーク。
まずは、プロデュース、企画、販売している事業者の人たちから。
弘前の代官町でセレクトショップgreenを経営する小林久芳さん。
スライドは、こぎん刺しの扇ねぷた。「おばあちゃんがタンスにしまっていたこぎん刺し」のイメージを変えて、今の人が使いたくなるこぎんアイテムをプロデュース。
マス グラフィックスの池田さん。写真左側にあるボトルキーパーは津軽塗。元々広告デザインをしていたけれど、先細りしていきそうに思い、自分自身でもコンテンツを持ちたいと始めた。津軽塗も職人の作家性を高めて、収益性をよくしていきたい。
津軽塗「漆雫」
続いて、作り手+秋元さんのトークタイム。
おりかさ蜜ツ星農園
弘前のクリエイターは手工芸品だけではありません。
日本一の生産量を誇る弘前市のりんごもまた、一つ一つ手をかけた「ものづくり」です。
おりかさ蜜ツ星農園の成田晃さんが語るリンゴの木の話しには、地元で生まれ育った人も知らないことがたくさん。
おいしいリンゴを作るためには栄養を行きわたらせるための剪定、摘花が欠かせない。
最初は剪定ハサミを持って畑に出ても、どの枝を切ってよいか悩み、そのまま夕方になった。
帰っても眠れず、夢の中にまでリンゴの木が出てきたと語ります。
会場にディスプレイされていたリンゴの枝を手にして、
「ここで〇年前に実をつけて、〇年前にここを切って…」
とその木の生い立ちをプロファイリングしてみせました。
どよめく会場に、
「これは自分だけじゃないですよ、青森のりんご農家はみんなこのことで6時間はしゃべれます」と。
一つ一つ受粉させて、摘花して、摘果して、日光が行き渡るように実を回したり、下にシルバーシートを敷いたり、袋をかけたり……すべてのリンゴの木がそうして手をかけて育てられている…。
どこまでも広がるリンゴ畑にかけられた労力を思い、なんだか泣きそうになりました。
トークの間には、乾燥させたりんごの試食と、大きな大きな「おいらせ」が会場内を回りました。
おいらせの大きさ比較のために写真を撮らせてもらった弘大生のとまべちさん。
いま、クラウドファンディングで全員参加型イベント「どん舞い」を起案しているので、面白そうと思ったらぜひ応援しましょう。
東京から来た秋元さんは、この巨大なおいらせを手に、どうしても食べてみたい様子。
「…食べてみていいですか?」
「あ、このおいらせは蜜が霜降り状に入るんで、サシって言うんですけど、軟化しやすい品種だから鮮度が…」
って、成田さんが説明してるうちにもうかぶりついてました。
すっごく甘いそうです。
食べてみたかったけど、あれにかぶりつく勇気がなかったわ…。
多様な「ものづくり」関係者が集ってました
途中、司会のりんご飴マンが、りんご飴マンねぷた(前灯籠)を制作・運行させた必殺ねぷた人の中川棟梁にコメントをいきなり求める場面もありました。
先月、浅草で弘前のねぷた運行をしてきたばかりの中川さん。
組ねぷたの伝統は伝えつつ、若い人、新しい人にどうやって参加してもらうかに取り組んでおられます。
わたしもこの夏は参加させてもらって、貴重な体験ができました。
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さて、おいしい交流会です!
だいぶお腹がすきましたが、いよいよ交流会のスタートです。
アップル&ジンのスクワッシュ、ノンアルサンフジのモヒート、kimoriのシードルなど、ドリンクもりんごづくし。
BGMもDJが選んだりんごにまつわる音楽や、津軽三味線の生演奏。
写真を撮りきれていませんが、パネリストの方の作品展示の他にも、この津軽地域で生まれた手工芸品や地産食品が展示されていました。
なんというぜいたくな空間。
集まっている人も、そこから生み出されたものも。
だからこそ、もっと外へ
秋元さんも語られていたけれど、津軽の人は本当にすごい真面目。
ある意味オタク。
津軽塗もこぎん刺しもりんご作りも、信じられないほどの手間をかけ続けている。
気が遠くなるような年月を重ねていく。
集中して深く深く濃く濃くしていくよう。
一方で、そのものづくりに集中するあまり、俯瞰してその魅力を外の人に伝えることが苦手になってしまう面も感じています。
いいものを作れば人が買ってくれる、ということは、もうこのモノと情報にあふれすぎた時代には難しい。
何がいいのか、
この一つのものができあがるまでに、どれほどの手がかかっているのか、
どんな人がどんな思いでつくっているのか、
そこが伝わらないと、県外へ、ましてや海外へ出ていった時に、1個50セントのリンゴに負けてしまう。
最後の締めは、そんな問題提起を投げかけた弘前に移住している英語教師のEdoさんが。
津軽で研ぎ澄まされてきたものづくりの技術と心が、外の人の目や手の力を得て、海外へ売り出していく。
そんなプロジェクトの始まりは、まず人と人が出会ってつながることから。
あちこちの場で生まれていた出会いが、数年後に振り返って第一歩になりますように。
MORE THAN…?
もっともっと外へ!
【関連リンク】
- green
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- 木村木品製作所
- 漆雫 ~うるしずく~
- おりかさ蜜ツ星農園
- ハンサムリネン「KOMO」
- 世界遺産白神生はちみつ「BeFavo」
- 弘前シードル工房「kimori」
- Snow hand made
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- Zilch studio