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Web制作者向けセミナーに漁業者が登壇!! CSS Nite in AOMORI vol.9 レポート

CSS Nite in AOMORI vol.9

CSS Nite in AOMORI vol.9


5月30日に青森市のアウガにて開催された、「CSS Nite in AOMORI Vol.9」に参加してきました。
Web制作に関わる事業者たちが、技術を磨くためのセミナーというイメージのCSS Nite。
札幌にいた頃は雲の上のように感じてましたが、青森ではちょっと違うように感じたので、ちょっと背伸びして行ってきました。

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そもそもCSS Niteとは?

CSS Nite(しーえすえす・ないと)=Web制作全般に関する話題を取り上げるセミナーイベント。
2005年に東京で始まり、全国で有志による実行委員会形式で開催されています。
青森は年1回の開催で9年目。地方のCSS Niteの走りとのことです。
(なお、翌日5/31は札幌で開催されています。)
テーマ、登壇者、内容も、各回、各地域で独自に作られているので、「CSS Nite」というイベント名と運営ポリシーだけ共有されている感じがします。

青森公式サイト>CSS Nite in AOMORI, Vol.9|青森県のホームページ制作・Web担当者向けセミナー

なお、このレポートは、参加者個人のメモを元にした書き起こしであり、実際の内容とは異なっている箇所がありえます。ご了承ください。



会場は青森駅から1ブロック先の「アウガ」内の多機能ホールです。
アウガ入るの初めてですが、商業施設+行政施設(図書館も入ってる)というビルです。
この頃、赤字がすごいとニュースになっていますが…綺麗な建物です。


CSS Nite in AOMORI, Vol.9
「企画から戦略へ、売上を生み出す集客デザイン」

セッション1 考え方をデザインしよう! ~「気付く力」と「発想力」の超活用法~
西谷雷佐(たびすけ合同会社代表)


たびすけ 西谷雷佐さん

たびすけ 西谷雷佐さん

介護資格を持ったスタッフがいて
多言語対応(英・韓国)できるスタッフがいて、 着地型ガイドをする旅行会社の「たびすけ」代表。
雷の日に生まれたから雷佐(らいすけ)。嫌いな食べ物はトマト。

着地型ガイドとは、県外、海外から訪れた観光客を、現地でガイドを行うスタイルだそうです。

おもてな市民育成講座として着地ガイドの育成をしたり、ひろさき恋活カレッジの企画など、旅行会社以外の仕事もされています。

たびすけの目標 → 観光事業を通して地域課題を解決し、誰もが楽しめる青森県!

1.「考え方デザイン」事例

<1>気づく力編 → あ、そうか!

東京の駅に行った時、あまりの混雑に思わず写真を撮る→東京で毎日通勤している人は撮らない
逆に冬の青森で、巨大なつららを撮る県外の人→毎日雪下ろししてる青森県民は撮らない

観光コンテンツは「暮らしぶり(日常)」「文化」「コミュニティ」「人」。
それに「気づく」かが重要! よく、「おらのとこは何もなくて」と言われるが、気づいていないだけで必ずある。

例:弘前路地裏探偵団の街歩きガイド

例えば、弘前市の流雪溝。弘前は道が狭くて雪を捨てる場が少ないので、道に流雪溝があり、割り当て日に一斉にその通りの人たちが格子を開けた流雪溝に、除けた雪を放り込む。

(これ、同じ雪国でも道路が広い北海道から来たわたしにも珍しい光景でした)

青い旗は流せる日、黄色は流せない日。誰がいつ旗を出しているか?
という話しをしながら、ガイドする。 観光客が街を歩いても気づかないことが、ガイドがいて物語をすることで気づく。

他の観光ポイントも面白かったです。
今度、弘前市役所に行ったら、少年の銅像を後ろから見てみよう。

ないものねだりではなく、あるもの活かしの着地型観光

<2>発想力編「…てことは」

住民の「日常」は外から見たら「非日常」
どういった文脈で紹介するか。
文脈によって「次の点」も「物語」も変わる。

例えば、「演台に津軽塗が使われている教会」を見て、次にどこへ行くか?
「伝統工芸」の文脈→ ブナコ、こぎん刺し。 「文化、生活」の文脈→ 鳥居に鬼のいる神社。 など。1つの点から文脈次第で広げていける。

2.超活用法のコツ

  1. 「真逆」を考えてみる→白があれば黒も考える
  2. 「グレー」も考えてみる→白でも黒でもないグラデーションのグレー
  3. 「なぜ?」と考えてみる

「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」
「あー、それ、前からやったらいいのにって思ってた」とよく言われるけど、
それならやればよかった。スピードこそが品質

始終、笑いが起きる楽しいお話しでした。
自分のところには売りになるものが何もない、と思う前に、当たり前を外から見てみる。
物語をつなげていって、外の人に共感されるという考え方、地域観光だけではなく取り入れていきたいですね。うーん、雷佐さん、面白い。


セッション2 事業継続のキモはパートナー選び
大月 茂樹(ニイハチヨンサン)


「ニイハチヨンサン」大月茂樹さん

「ニイハチヨンサン」大月茂樹さん

岡山県岡山市のWEBサイト制作・コンサルティングを行う「ニイハチヨンサン」代表。元々は技術・開発畑の出身とのこと。
はじめてWebの晴れ晴れホームページの原案を担当されてます。


大月さんのトークは、いきなりザクザク刺さってきました。

作ることにしかフォーカスしていないWeb製作会社に依頼してしまい、運用されていないケースが多い。

発注する事業者は、縮小していく市場、あるいは新規参入が相次ぐ市場の中で、なかなか次の一手が打ち出せない。

どうやって生き残るか?

Webサイトへ投資してみたが期待したような成果があがらず、疑問や不満を抱えている。

  • 良いモノなのに、なぜ売れない?
  • Webに投資する価値はないのでは?
  • そもそも、成果のあがるWebサイトを作ってくれるWeb製作業者は存在するのか? と、商工会の担当者に相談される現実がある

一方、受注するWeb制作者は、変化し続けるトレンドや技術への対応、制作単価の下落、自動化ツールが登場する中で。

どうやって生き残るか?

どれだけ頑張っても期待するだけの対価を得られない中で、疑問や不満が募る。

  • デザインや技術の価値が、なぜ理解されないのか
  • 制作単価の下落の原因は事業者のWebリテラシー不足では無いのか?
  • 経営課題の解決は事業者が行うべきもので、(Web)制作業者の仕事ではない

発注する事業者の利益が上がらないと、Web制作業者の利益もない。

事業継続できますか?

痛っ、痛過ぎる!!

Web制作業界の隅っこにちんまりいる(のか?)わたしも含め、場内は前のセッションから一転、静まりかえった空気に!


「モノ」を作っても売れない時代

昔であれば、インターネットでモノが買えることが珍しくて人が集まった。
しかし、今はみんなポケットに入るスマートホンを持ち、膨大な量の中から選んで買い物をする。

ただ、モノを作っても売れない。
ただ、Webサイトを作って、ショッピングカートを置いても売れない。

誰に? 何を? どのように? さらに、いくらで? 売るかを考える。

Webサイトを通じてお客様の事業課題を解決する→事業者の事業継続ができる→WEB制作事業者の事業継続ができる

<<ビジネスをデザインする視点>>

事例紹介:鉄鋼を切断加工する会社の家具製品のWebサイトリニューアル
依頼主は「デザインとサイズを選んでカートに入れて注文できるECサイト」を望んでいたけれど、それでは大手通販会社の情報量に勝てる見込みはない。

完全オーダーメイドで家具を作れる強みを活かし、オーダーの相談をする問い合わせフォーム形式にした。

商品写真も商品だけを写したものではなく、お客様の自宅でその家具がどのように使われているか、人も登場する写真を撮り、新しい生活への期待感を上げるようにした。

オーダーメイドのオリジナル家具製作だとの認知を得て、客単価が約3.5倍にも伸びた。

「モノ」ではなく「コト」を売る

発注する事業者のビジネスを、Web製作事業者がデザインしてお客様に伝えていくことが、今後必要となっていく。
大月さんのセッション、かなり辛口でした。
実は今回でWeb制作者向けの講義は最後にされるとのことです。
Web制作業界に関わる人へ向けて、同じ現場で奮闘する立場からの叱咤激励と感じられました。


セッション3 クラウドソーシングで実現する新しいワークスタイル
中野渡 典子(株式会社クラウドワークス)


「クラウドワークス」中野渡典子さん

「クラウドワークス」中野渡典子さん

クラウドソーシングの雄・クラウドワークス社の中野渡(なかのわたり)さんのセッション。
さすが、東京から来た人はスラスラ軽やかにお話しするわーっと思ったら、十和田市出身、弘前大学卒業の方でした。 地元の人だ!

大学卒業後、ANAの客室乗務員をされていたそうです。色々と納得。
英会話スクールでクラウドワークスの吉田社長と出会い、その理念にひかれてCAを辞め、クラウドワークスに入社。すごい思い切りのいい人です。

後のグループワークに向けて、クラウドソーシングとクラウドワークスについての説明がされます。

昨年11月にねぶたの家ワ・ラッセで、吉田浩一郎代表取締役のお話を聞いていたので、重複する部分はメモしていませんでした。
旧雑記ブログの方に、やはり長文のレポートを書いています。
ねぶたの家でITと仕事と地方在住について考えた(1:クラウドワークス社吉田代表のお話): Alternative Note

実は、わたしも前回の吉田代表のお話しを聞いてから、作っただけだったアカウントを動かして、実際に小さな仕事を受注してみました。

レビューや、地元スポットの写真投稿、アンケート回答などで合わせて1,000円台ですが、確かにご入金いただきました。これもまた経験値。


セッション4 大間を代表とする「青森マグロ」の商品・サービス企画アイディア考案
野呂 英樹(株式会社あおもり海山)


「あおもり海山」野呂英樹さん

「あおもり海山」野呂英樹さん

今回のラストは、「青森マグロ」をいかに売り出すかを企画し、そのアイディアをクラウドワークスのサイトで実際に応募しよう、というグループワークでした。

登壇者は株式会社あおもり海山取締役営業部長の野呂英樹さん。
「すごいアウェーなんですけど…」
と何度も言っていた野呂さんは、大学で水産について学び、青森県庁に入ったが2年後に「株式会社を作りたい」と申告したという異色の若人。

その後、NPO法人Fair Trade Fisheryを設立し、青森の魚の魅力を発信していたところ、株式会社あおもり海山の方から声を掛けられ、県庁を退職して入社。

漁船に乗ってマグロの血抜き・神経抜きができる人が登壇するCSS Niteは青森だけ!


なかなかマグロの神経抜きできる人が登壇するWebセミナーは無いですよね。

この血抜き・神経抜きの技術を導入したことで、ぐっと青森産のマグロの品質が上がり、築地でも高く評価されているそうです。

青森のマグロと言えば大間が有名ですが、他にも深浦、小泊、竜飛、三厩、尻労と合計6漁港でマグロが揚がっていて、2~4月を除く期間すべてでマグロが捕れるのは青森だけ!

そんな青森マグロのブランドを、いかに広めるか?

ここで、会場内の席がシャッフルされました。各6人前後で10卓のグループが作られます。
知ってる人と離れた~っと思ったら、キセカエヤでお世話になったカッチャートプロジェクト代表のたかはしたかこさんと隣席になりました。あら、奇遇!
「カッチャート☆パーティー vol.9」ありがとうございました!

A3の紙とボールペン、グループのアカウントでクラウドワークスにログインした状態のiPadを各テーブルに配られて、はい、スタート!
青森マグロを使った商品、企画を考えて投稿しましょう…って、いったいどこから話し始めたらいいの??

すると、隣のたかはしさんが、色とりどりのフセンを取り出し、とにかく思いついたキーワードをどんどん書いて貼っていきましょう!ということに。慣れてる!


フセンでKJ法

フセンでKJ法

フセンに順不同で出していったキーワードを、分類して、箇条書きにまとめて、終わりのまとめ時間にかかった頃にようやく投稿しました。
あれ、いくつかに分割して複数投稿してもよかったなぁ。

応募は6/6までできます。CSS Niteに限らず、全国からアイディアが寄せられています。
果たして、誰の企画が採用されるのか? この会場から出るのか?
今後も要チェックです。
大間を代表とする「青森マグロ」の商品・サービス企画アイディア募集!【CSS Nite in AOMORI × クラウドワークス 特別コラボ企画】


参加しての感想

今回は、わたしのようにWebに関わっているけれど専門業者ではない人にもよくわかる内容でした。

あるもの活かしの魅力の見つけ方、それを手に取ってもらう為の伝え方を考え、後半のグループワークで現実の素材をどう料理してお皿に盛りつけるかを提案する。

頭も手も口も動かして、良い体験ができました。
後は、これを今後の仕事の中で振り返って、活かしたいですね。

懇親会も参加できました

今回は夫が子どもを引き受けてくれていたので、セミナー後の懇親会にも参加できました。

自宅オフィスで1人でWeb制作やPCに関わる事業をされている女性の先輩方とお話しすることができ、自分にまだまだ足りないところがたくさんあることを実感。
それと同時に、そういうスタイルで5年以上お仕事されている方がこのエリアに何人もいること、常にこのようなセミナーに出て技術を磨いておられることに、刺激を受けました。

また、同じように仕事を始めたばかりで、小さい子がいるお仲間とも出会えました。
弘前の中だけで、今までつながっていた範囲だけで、自分の立ち位置を考えるものじゃないなぁ、としみじみ感じます。

こうした機会を作ってくださった実行委員会の皆様、これまでのCSS Niteをつなげて来られた方々、ありがとうございます。

夫と息子にも感謝です。22時に帰宅したら2人とも寝ていました。

さて、1つ1つ自分の仕事を積み重ねていこう。


追記(2015年7月13日)

弘前市役所に行った時に、少年の像を背後から見ました。
確かに半ケツでしたよ雷佐さん!!



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