ファンタジー作家タニス・リーの訃報に寄せて
英国のファンタジー作家タニス・リーが、5月25日、67歳で亡くなられました。
10代の頃、ゲームの影響でファンタジー作品を読みあさっていて彼女の作品に出会い、あまりにも美しい描写と魅力的なキャラクター造形にすっかりファンになり、いつも邦訳されると買い求めていました。
引っ越しや出産の折に、だいぶ本を手放したのですが、いつまでも手元においておきたい作品として残しておいたのが、上の写真の11冊です。
タニス・リー
タニス・リー(Tanith Lee、1947年9月19日-2015年5月24日)はイギリス生まれのファンタジー作家。
「現代のシェヘラザード姫」、「ダーク・ファンタジーの女王」と呼ばれる。 9歳の頃より創作を始め、グラマースクールで美術を学び、24歳でデビュー。
初期は児童向けにジュブナイルを書いていたが、神秘的かつ耽美な作風は『平たい地球』シリーズで広く認められるところとなる。第2作の『死の王』でオーガスト・ダーレス賞(現在の英国幻想文学大賞)を受賞している。短篇作品にも定評があり、1983年には『ゴルゴン』、翌84年には『彼女は三(死の女神)』によって世界幻想文学大賞を2年連続受賞している。2013年世界幻想文学大賞で生涯功労賞を授与される。
現在、ファンタジーにとどまらず、ホラー、SF、エッセイやドラマ脚本など幅広い分野で精力的な活動を行っている。 アンソロジーなどにも多く寄稿している。
著作数は100冊近いが翻訳されたものは少なく、その大半が絶版になっている。
(タニス・リー - Wikipedia)
訃報はtwitterで知りました
タニス・リーは、SF・ファンタジー愛好家には人気があるものの、特に映画化されて日本の映画館で上映された作品がないこともあり、一般のニュースには載っていませんでした。
訃報を知ったのは、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)つながりでフォローしている方のつぶやきからでした。
RIP Tanith Lee http://t.co/HVAWGk1Vae @wordpressdotcomさんから 待って待ってちょっと待って。……え? タニス・リーが逝去したって書いてあるように読めるんですけど? え?
— 友野詳 (@gmtomono) 2015, 5月 26
タニス・リー 死去の報がTwitterに流れる。
若い頃、彼女の作品のきらめきに魅了された身にとっては、なんとも物悲しい。
ああ。
— 朱鷺田祐介 (@TokitaSuzakuG) 2015, 5月 26
さよなら,タニス・リー:http://t.co/aG514V2rXC
— \\ ٩( 'ω' )و //モリー (@T_Moriyama) 2015, 5月 26
本人の公式WEBサイトに遺されたメッセージ
だいぶ意訳だけど、こんな感じに捉えました。
死後の更新用に用意してた言葉なのかな。
— 深山 (@ksk_miyama) 2015, 5月 26
幾億の行き来があり
暗い影を通り抜け
“そこ”へ到達するまでに
私は物語を語り終えた
紙上に
蝶の舞う風に
数多の中心に
思い出の遡上
大いなる転換と魔法の所作
過ぎたるは灯火のごとく
永遠に 永遠に
蒼天に沈む
そしてすべてのものは傷付かず
もう言葉はいらない
タニス・リー
— 深山 (@ksk_miyama) 2015, 5月 26
代表作“平たい地球”シリーズ
まだこの世が平らかだった頃、地底に筆舌も及ばぬほどの妖しさと魔法に満ちた妖魔の都があった。
というファンタジー世界で織りなされる妖魔と人間たちの物語。
豪華絢爛たる美形キャラ揃いで、耽美的な世界観にうっとりします。
千夜一夜物語をイメージして書かれた作品とのことで、それぞれが独立した物語にもなっています。
でも、まずは「闇の公子」から読むのがおすすめ。
小作品の集まりなので、読みやすいです。
タッグパートナーとも言える邦訳は浅羽莢子さん。こちらも既に故人になられています。
天国で再会されているのでしょうか。
他の著作も紹介したいのですが、ほとんど新品が入手困難なようで。
著作集の代わりにAmazonのリンクを貼っておきます。
読みたい方はレビューやISBNコードなどご参考に。
>タニス・リー著作(Amazon)
童話や神話、シェイクスピア作品など、誰もが知る古典を、タニス・リーのフィルターを通して再編された作品がとてもいいです。
「影に歌えば」「血のごとく赤く-幻想童話集-」「鏡の森」あたりですね。
また何度目になるかわかりませんが、著作を読み返しつつご冥福をお祈りします。