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今この時だからこそ!セミナー「Webで文章を書くということ」に参加してきました

ワ・ラッセ入口に並ぶ雪灯篭

ワ・ラッセ入口に並ぶ雪灯篭

青森市ねぶたの家ワ・ラッセで1月21日に開催されたセミナー「Webで文章を書くということ」に参加してきました。

津軽はマイナス気温の中ですが、豪華講師陣と満席の参加者の熱気で会場は熱いほど。

どうしても行けなかった方のために、そのエッセンスをおすそわけします。

※このレポートはさいとうのフィルタを通したもので、講師の方々の言葉・意図と違う場合がありますことご了承ください。



ねぶたの家ワ・ラッセに色とりどりの講師陣が集った


ロビーに展示されているミニねぶた

ロビーに展示されているミニねぶた


昨年末、と言ってもまだ1カ月ほど前のこと。

医療情報のまとめサイト「WELQ(ウェルク)」が、不確かな情報や無断盗用の情報を元に、委託したライターに大量の記事を書かせていたことが明らかになりました。

大炎上と言われる状況の中、まず「WELQ」が記事を公開中止。

同じくDeNAが運営するまとめサイトでファッション情報の「MERY(メリー)」、インテリア系の「iemo(イエモ)」、旅行の「Find Travel(ファインドトラベル)」他が公開中止になりました。

また、DeNA社だけではなく、サイバーエージェント社の「Spotlight(スポットライト)」など、他のサイトにも飛び火して、記事の非公開化が広がりました。

わたしは、長いこと個人でブログを書いたり、ここ数年はSNSに文章を投稿したりしています。

小規模ではありますが、画像を無断で転載されたり、逆にSNSの投稿を埋め込み引用することもあります。

また、問題となったサイトではありませんが、クラウドソーシング経由で1記事数百円のライティングの仕事をしたこともあります。

プロのライターではなくても、誰もがWEBを通じて文章を公開できる時代。

「Webで文章を書くということ」について、最前線に立つ方々のお話しをうかがえる機会に興奮しました。

コーディネイターは青森が好きすぎる山尾信一さん

何度も何度も何度も弘前で会っている山尾信一さん。

あおもりメディアラボや、弘前のコワーキングスペース・SHIFTのイベントにいつもすごい人を呼んでつないでくれます。

なんだか青森市で会うのが不思議な感覚。


コーディネイターの山尾信一さん

コーディネイターの山尾信一さん(プレパラート)


「今日、皆さんがWebで見た記事を思い出してみてください。

そこにはどうやってたどり着きましたか?

たいていは、直接WEBサイトを訪れたか、FacebookなどSNSで見てリンクをたどったか、検索した結果の中から選んで見たはずです。

  • 直接、Webサイトを訪れた⇒何で知って何を期待して来たか?
  • SNS経由で訪れた⇒誰の、どんなコメントを見て来たか?
  • 検索⇒どんなキーワードで検索して来たか?

どんな気持ちでユーザーがその記事にたどり着くかで、読まれ方も変わります。

今日はWEBで話題の三人が、ここ青森に集結しています!」

期待感をさらに上げて、登壇する講師にバトンタッチします。

1.朽木誠一郎さん「現役のライターがウェブで文章を書くときに気をつけていること」


朽木誠一郎さん(ノオト)

朽木誠一郎さん(ノオト)


朽木誠一郎(くちきせいいちろう)
ノオト所属・医学部卒の編集者・ライター。
ウェブはYahoo!ニュース個人サイボウズ式ブロガーズ・コラムジモコロ、紙はプレジデント・書籍の編集協力などで執筆、PAKUTASOのフリー素材モデル。
(スライドより引用)

昨年は本当によく記名記事を読む機会が多かった朽木さん。WEBと紙(雑誌・書籍)で120本くらい書かれていたそうです。

わたしはこちらの記事が「おおっ!!」と思い、著者クレジットを見ると朽木さんというパターンでした。

よくこの人たちからこの言葉を引き出して着地した、と読んでいてうなりました。

朽木さんのお話しは、
「自分が経験したことしか話せないので」
と前置きしながら、主語を大きくせずに語られました。

以下、メモより抜き書きです。


  • Webと紙では、書くこと自体はそんなに違わない。
  • 文章はライターの仕事を始めた頃の上司にかなり指導された。
  • Webの文章は誰でも読めるし、書ける。何でも書ける。
  • 紙のメディアには編集者がたいていいるが、WEBにはいない場合もある。
  • Webは誰でも無料で読める場合が多い。
  • その結果、想定していた対象ではない読者に読まれて、問題視され炎上することがある。
  • 編集者不在の場合、編集目線が無い人が書いた文章が、うかつな炎上をしがちになる。

ではどうするか?

わかりやすい文章を書くためにできること

  • 基本的なルールは押さえる
  • 練習する

  • 基本的なルールは記者ハンドブックを参照すると、一般的なメディアのルールがわかる。

  • 著作権、肖像権、景表法、薬機法(旧薬事法)の基本的なルールを知る。
    知らないでは済まされないルールが周知されていないのも、なんでも書けるの弊害。
  • 文章は声に出して読んでみる。
    主語・述語や助詞の使い方を点検できる。
    脳内でもいいから読んでみる。

  • 萎えずにがんばる。

  • できるだけ続ける。
  • 怒られたら反省する。

コンバージョンを上げるために

コンバージョン=申し込み、問い合わせなど企業が望む行動とここでは定義する。

文章で人を動かすためには…

  • 読者の感情を想像する
  • 読者と信頼関係を築く
  • 読者にとってフェアである

読者の心が動いた時、行動がおきる。

ポジティブよりネガティブな感情の方が人を支配しやすい。
(例:これを買わないと死ぬ)

しかし、それでは長期的な関係を築けない。

小手先のテクニックでコンバージョンをさせても意味がない。

「うれしい・たのしい・だいすき」な関係を。


Webに限らず、「人を動かす文を書く」ことのベーシックな部分をお話しされた朽木さん。

説明する言葉をていねいに定義するところに、信頼感がある人柄がにじんでいました。

わたしもこれからWebのことやブログのことを講座で話す予定があるので、
「自分が経験したことだけを伝える」姿勢に励まされました。


2. 鳴海淳義さん「バズ・ソーシャルメディアに強いコンテンツのつくり方 」

鳴海 淳義(なるみ あつよし) BuzzFeed Japan
CNET JapanなどITの分野のニュース記者・編集者を経て、LINEでニュースアプリやポータルの編集に携わる。個人ブログではグルメ、書評、ガジェットなど幅広く発信する。
現在はBuzzFeed Japanに所属。


鳴海淳義さん(BuzzFeed Japan)

鳴海淳義さん(BuzzFeed Japan)

昨年8月に弘前であおもりメディアラボWebコースの講師に来られていた鳴海さん。

その時も受講していたわたしがいるので、内容を一部変更されたとのことです。本当ですか?!

BuzzFeed とは?

BuzzFeedは、従業員が世界中に1300人(2016年8月時点)もいる一大Webメディアの会社です。

よくネットで聞かれる「バズる=(大量拡散する)」という言葉は、このBuzzFeedの社名からきており、元々はハチがブンブン言う様子をあらわす言葉とのこと。

弘前で開催された学生向け講座では、BuzzFeedの名前を知らない人も多かったけれど、このドレスが青黒か白金か?の画像を見たという人は多かったですね。


この頃はまだ日本版BuzzFeedが無く、日本ではTwitterやハフィントンポスト、NAVERまとめなどで見ました。

日本版のBuzzFeed Japanは、先日1周年を迎えたばかりです。


上の記事で紹介されているように、バックグラウンドが豊かなスタッフを採用していて、鳴海さんはネットメディア(前職はLINE)ですが、新聞記者、専門雑誌編集者など、様々な経歴の方がいるそうです。

そして、記事はすべて自社編集部で制作。

どれが本物のお尻か?というクイズ記事もあれば、


福島第一原発の廃炉作業現場を取材したルポタージュもあります。


8月の講座で聞いた話ですが、BuzzFeedのトップページへのアクセスは個別記事に比べてごくわずか、検索経由でのアクセスも2%程度で、ほとんどがSNSからのシェアとのことです。

だから、どれが本当の桃か?のクイズと、福一のルポタージュとが並んでいても、それぞれの記事にそれぞれの読者が見に来ているのですね。

わたしも、こちらの記事とそこについているコメントを読んで、初めてBuzzFeed Japanが内製記事で構成されていることを知りました。


ねこかわいい。

かわいいと言えば、こちらのラッコ記事。

検索流入を狙うSEOをまったくしないのでできたタイトルの一例でした。


この記事をシェアすると、SNS上でその人のアイコンが「ラッコ! ラッコかわいい!かわいい!!!はああ!ラッコかわいい!!!!」と叫んでいるように見えるという作用があるそうです。

意識高そうなアイコンがシェアしてたら、つい押しちゃいますね!

BuzzFeedのポリシーは「人々の生活にポジティブな影響を与える」こと。

楽しい、信頼される、シェアされる記事を作ること。

記事の読了率が最優先されるので、思い入れの強いライターには厳しい場であるとか。

良い記事は2回クリックされる。 1回目のクリックは読む時に。
人に伝えたければシェアしたくなる。
つまり、2回クリックする。

どうやってシェアされる記事を作るか?

  1. IDフレーム
  2. クイズフレーム
  3. リージョナル
  4. ノスタルジア
  5. フィーリング

5つの切り口と、もう1つ。

記事の読後感が大事。 どんな感情でシェアボタンを押すか。

例としてこちらの記事が紹介されました。


この記事見るの2回目なのに、最後でやられます。

また、お話しの中でバズを起こすには、
「知ってる人の数×視点のユニークさ」
が必要というのも、わたしにグッサリ刺さりました。

どうしても、好きなことを追求しすぎて、ニッチな層にしかわからない記事を書いてしまったりするんですよね…。

さらに個人的なことですが、鳴海さんがめちゃくちゃイケボで聞きほれてしまいました。


3.松尾茂起さん「検索エンジンとユーザーに評価されるWebコンテンツの本質」


松尾茂起さん(ウェブライダー)

松尾茂起さん(ウェブライダー)


松尾 茂起(まつお しげおき) 株式会社ウェブライダー代表取締役
大学卒業後、音楽系の制作会社に勤務し、舞台音楽などの制作に携わる。
その後、2005年にフリーランスとして独立し、2010年に株式会社ウェブライダーを設立。
検索エンジンからの集客を軸としたWebコンテンツ制作を得意としている。
過去にプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebマーケティング」「沈黙のWebライティング」「ナースが教える仕事術」など。
音楽家としても活動しており、「恋のSEO!」「私の心の中の関数」などの楽曲も発表。
2017年1月には、Webライティングをテーマにした楽曲をリリース予定。
1978年生まれのAB型。京都と東京に在住。好きな言葉はマンドリル。
(引用元:あおもりIT活用サポートセンター

今回のセミナーを受講するにあたって、予習していた本の著者・松尾さんのセッションです。


鳴海さんのセッションとは逆に、検索エンジンの評価を上げるSEOがテーマです。

松尾さんはWebの仕事をする前は、舞台音楽を作っていました。

ご自身が作曲した超ピアノMIDI素材集をWebサイトに公開し、SEOを施したら上位表示されて売れたことで人生を救われたそうです。

検索エンジンからの集客を支援することに特化した会社を興し7年目。
今は京都本社と東京支社もあります。

ウェブライダーで運営されているナースが教える仕事術を例にご紹介されていました。

このサイト、43記事で月間100万pv68記事で月間200万pvを獲得しているそうです。ええぇぇぇ!

当ブログは40記事の頃なら月間3,500pvくらいでしたよ。桁違いすぎです。
600記事くらいある今でも月間10万pvがまだ遠いのですがそれは。

そして、検索エンジンからの流入が84%

本当に先のBuzzFeedの例と真逆です。

なぜ、そんなにアクセスがあるかというと、誰でもが求める医療情報のキーワードでトップをとっているからなんですね。

たとえば、この記事は「しゃっくり」で1位。Wikipediaを抑えてます。


どうして、人気のキーワードで1位を取ることができるのか?

検索エンジン=Googleは、人間(ユーザー)が高く評価する記事を重要だと認識するからです。

その根拠は、Googleが掲げる10の事実に書かれています。これはGoogleの公式ドキュメントです。


「6.悪事を働かなくてもお金は稼げる。」とか、Googleさんかっこいい。

大事なのはここ、「1.ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」
検索している人にとって便利な記事を上位表示させること、不当な手段を使っているサイトを上げないことは、広告収入を得ているGoogleにとっても大事なのです。

検索結果の上位がゴミコンテンツばかりだと、その検索サイトは廃れてしまいますからね。

では、ユーザーの役に立つ記事を書くためには…

「自分たちのコンテンツが誰かにとってのツール(アプリ)になることを意識する」

ユーザーも本当は検索などしたくはなく、答えが知れればいいのです。

時には検索するための言葉がわからないこともあります。

そんなユーザーの状況を想像して、先回りして、他に探しに行かなくてもすべての答えと、そこからまた出てくる疑問にも答えていく記事。

細かくは、こういうポイントもあるそうです。

  • 更新日をすぐわかるようにすること
  • どんな人が書いたのかわかること。
  • 行間や強調に配慮されていて読みやすいこと

他にも外部からのリンクの有効性、
話者が誰であるかが大事、
ねたまれると聞かれない、
というポイントも解説されました。

こちらのインタビュー記事からも、そのこだわりがうかがえます。


セッションの最後に、
「SEOは怪しくないよ(^ ^)」
と締めていました。

そう、大量生産された記事からリンクをはりまくって上位表示させればOKという時代は、もう過去になります。

その情報を求めている人に、適切に届けられるような記事を書いて行こう、と気持ちをあらたにしました。

さらにオマケで追加されたタイトルも。

SEOいい!SEO最高!!はああ!ほんと、SEOやってよかったあ、マジでSEOいい!順位上がって気持ちいい!

拡散されるタイトルも大事ですね!

さて、ここで休憩を入れまして、ワークショップに移ります。

大丈夫ですか? この記事も相当長くなりました。

ワークショップでさいとうの記事が題材になったの巻

松尾さんが進めるワークショップは、
「記事・タイトルづくりワークショップ(SNSバズ向け・SEO向け)」

事前に配布された資料を元に、
……
…………


ワークショップの配布資料

ワークショップの配布資料

うちのブログ記事がプリントアウトされてるーーーー!!!

いや、もちろん事前に記事を提供することは了承していたんですけどね。

こんな風にプリント配布されているとは思わなくて、最初びっくりして笑っちゃいました。

紙で読むと、何かまたアラが見えるような…。

素材となった記事はこちらです。


1年近く前に、友人に悩み相談をされた中からできた記事でした。

Facebookを退会する方法を聞かれていたはずが、
その理由をきくとFacebook友達で変な絡み方をしてくる人がいるので、いったん退会して、しばらくしてから新しいアカウントを作りたいという内容でした。

「でも、それだと友達経由でバレるよ。また友達申請来た時にどうするの?」
と聞くと悩んでいたので、退会しなくても特定の相手の投稿を見たり、見られたりしない方法をアドバイスするために書きました。

なつかしいなぁ…。
その後、どうなったかなぁ…。

さて、この記事を囲んで、会場が6つくらいのグループに分かれて話し合いをしました。

SNS経由でバズるようなタイトルと、
「Facebook 疲れた」で検索して来る人の意図を考えたタイトルをつけます。

元ネタのわたしも、他の参加者の皆さんとともに新しいタイトル案を考えました。

ワークの結果発表

わたしたちのグループは、SNSシェア狙いで「ミニマリストが教えるFacebookの人間関係整理術」を発表。

他のグループからはSEOを意識したタイトルで「Facebookに疲れた時の5つの特効薬」といったタイトルが提案されました。

そして、鳴海さんからもいくつかのタイトル案をいただきました。


バズ狙いのタイトル付け

バズ狙いのタイトル付け


「あなたのFacebook友達は”本当の友達”ですか?相手に知られずにブロックする方法」

つよい。

「上司からFacebook友達申請きた死にたい」

キタコレ。

「FacebookこわいFacebookこわい!!! はああ!!(以下略)」

天才か。

と、短時間にいくつものバズりそうなタイトルを挙げられていました。

もうさ、こういう経歴を重ねた人たちが複数集まって磨きながら、ツールで検証もガリガリしながらコンテンツつくってるんだもの、一般の個人がかなうものじゃないよね…。

なんてね!

そういうサイトと、自分自身の体験をベースにした地方住みの個人メディアが同列に並んでいるのがWebのおもしろいところ。

わたしが検索結果1位をとっているキーワードは「やなさって」(明後日の次の日の方言)です。ニッチ上等!

このワークの中で、席に寄った松尾さんに、
「この記事、アプリ的によくまとまっていていいですね」
と言われたことを力に、これからもわたしが書ける記事を書いていきます。

こっそり改題しました

このセミナーの数日後、こっそり記事タイトルを変えて、記事概要文も更新してみました。

しばらくこの状態で経緯を観察してみます。


最後まで堪能しました

せっかく青森まで来たのだからと懇親会にも参加しまして、
松尾さんと舞台音楽&音響屋としてお話ししたり、
鳴海さんに「なぜBuzzFeedにはてブボタンがないのか?」を質問したり、
朽木さんに「山本一郎さんのインタビューに感銘しました!」と話しかけたりして、楽しく過ごしました。

講師の皆さん、遠く青森まで来ていただいて、ありがとうございました。

今のこの時期に、このお話しを聞くことができたのは、本当に幸運でした。

とても長文になりましたが、このセミナーに行きたくても行けなかった方の参考になれば幸いです。

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