? Roads to Lord Play Report「おかえりの樹」
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おかえりの樹
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シナリオ作成編

1:新版「ローズ トゥ ロード」を手にとって

 “ファンタジーTRPGの名作「ローズ トゥ ロード」 ここに復活!”
 そんなコピーの帯がついた書籍型ルールブックを手にとったのは2002年の初夏。
 それから半年間、このサイトは休眠状態にありました。
 ローズファンサイトを名乗っておきながら、かつてないタイムリーな時期をただ傍観してしまったのです。期待してくれていた方々には申し訳ない。
 理由としては、仕事が多忙だったとか、仕事でHTML書いていたので趣味サイトに手が回らなかったなど、様々あります。
 が、正直言って新版「ローズ トゥ ロード」をどう紹介して良いかわからず、手をつけかねていた部分もあるのです。
 それはなぜか?
 1:ルールブックを読むのが辛い。
 2:したがって、実際に遊ばないとルールを理解できない。
 3:しかし、遊ぶ機会がない。
 遊べないのは時期が悪かったから仕方がない。それでも、ルールブックを読んで感想書いたり、検証をすることはできたのです。3世代システム比較研究の追補版にするとか。
 でも、なぜかわたしはこの本と相性が悪い。長く見ていることができない。
 ……ページの柱に描かれてるエルフの彫像が怖くて。
 大まじめな話しです。怖いんです、目がこっち見てて。腕が折れてるみたいで。
 ほとんど全頁の左右両脇にあるわけです。Fローズ風に言うと、ルールブックを開くたびに「無名の感情」が1D6上がる気がするわけなんです。
 …言い過ぎでした。イラストレーターさん、デザイナーさん、ごめんなさい。

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2:シナリオつくるぞ

 さて、いつまでも本を相手に目をそらしているわけにもいきません。
 なんといっても、夫婦でそれぞれ1冊ずつ購入しているから、8000円も支払っているのです。
 さらに、アークライトから3月に発行されたサプリメント「ザ・ストレンジソング」(1800円)も購入。「RPGamer」(3000円)もリプレイ目当てに購入。
 色々な意味で遊びたい魂に火をつけてくれました。
 「ザ・ストレンジソング」はリプレイもシナリオも秀逸でオススメです。……エルフの彫像はありますが。

 この勢いにのったまま、お試しプレイをしてみましょう、と相方のやしちに持ちかけました。GMをすれば、きっとルールも把握できるようになるはず。
 そして、メモ帳とルールブックを手に、シナリオづくりが始まったのが3月30日。
 A6版の小型メモ帳に、どんなイメージのシナリオにするか、適当に言葉を連ねていきます。
 このメモを見返すと、<春><花うずみ><うすもも色><散る花びら><峠に行きたい酒場の奥さんが護衛を依頼><歌が聞こえる><花はどこへ行った><未亡人><こういう夢ならもう一度会いたい><だがその場所にはうす紅の花びらが地をおおうばかり>…と、他人が見たら悪い電波を受けていると思われそうな文字の羅列です。
 とにかく、季節柄、桜の花びらが舞うようなシーンを入れたかったのです。セッションの予定は5月連休。北海道では桜の季節です。
 この言葉メモはすべてシナリオに使うわけではなく、ただ連想ゲームの助けにしています。
 もともとテストプレイ用の短編シナリオなので、凝った仕掛けはせずに真っ直ぐなシナリオにしようと決めていました。
 それでも、ここでイメージを広げておくと、プレイ中のアドリブにふと思い浮かんだりするので助かることもあり。
 なにより、最初からかっちりとシナリオを作ろうとすると挫折するので、とっかかりは簡単で楽しい作業にしているのです。「シナリオつくるぞ」という気分が大事。

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3:資料の山から

 さて、メモ書きからさくっと1ヶ月ほどが経ち、いよいよ5月連休までカウントダウン。
 ようやく腰をすえてシナリオを書き始めました。この間何をしていたのかは不明。
 めずらしく今回は導入から書いています。

“うすもも色の花が咲き乱れる美しい村だった。あなたは旅の途中で立ち寄ったこの村に、奇妙ななつかしさを感じた。一軒しかない宿に入ると、美しい女主人が「おかえりなさい」と声をかけてきた。”

 続いて、いつも通りに舞台となる村の設定、NPCの設定、PCの目的、シナリオのフローチャートを書きます。フローチャートといっても、今回は一本道です。
 さて、この花びら舞い散るというイメージの描写ですが、「桜」ではなんだかしっくりきません。「桜」からは、いかにも日本的な雰囲気がします。ここはユルセルームらしいオリジナルの名称を設定してしまおう。
 「ザ・ストレンジソング」のリプレイには、紅雪樹と書いて“アムレ”とルビを振る名称の樹が登場します。これがまたシナリオに秋の彩りを添えていました。
 「色々な色」の本などを引っ張り出して調べます。…こうして本を見ると、紅系の色名って、「桜色」「桃色」「紅梅色」など既存の植物からとった言葉が多いのですね。
 桜の樹を思い浮かべながら、そんな雰囲気を出しそうな文字を並べてみました。<紅><霞><雲><綿><春><淡>…取っ替え引っ替えしてようやく「春霞樹」という名称を決めました。
 どうせならユルセルームの共通語、ノルダレア語風の読み方も決めたい。今までのローズシリーズのルールブックなどを引っ張り出し、春、霞、樹を調べてみました。しかし、統一された辞典はないので時間がかかるばかり。
 こんな時はファンサイト頼みです。相互リンクしていただいている林蔵さんのユルセルーム研究所を参考にしました。ここには林蔵さんが独自に編纂された「日本語−ノルダレア辞典」という素晴らしい資料があるのです。
 ここで調べると、「春」はラプトゥール、リュプトゥール、古い読み方でエマットという訳があります。「樹」はモルド。「霞」や「霧」は見つからなかったので、中間は適当に解釈して「エマルムド」という読み方にしました。
 実はシナリオ作りで一番時間がかかったのが樹の名前を決めること。部屋中に「Roads to Lord」シリーズの箱や書籍が散らばることになってしまいました。

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4:単純に単純に

 あとは、最初に書いたフローチャートの項目別に、描写や判定の目標値、言うべきセリフを書き込んでいくだけです。
 1:プロローグ。小さな村で既視感を覚える。
 2:宿で女主人(未亡人?)と子どもに「おかえり」と言われる。
 3:夢を見る。見知らぬ洞窟を抜けて石碑の前に立つ夢。「おかえり」と声。
 4:女主人の頼みでともに洞窟へ向かう。途中でクリーチャーとの遭遇あり。
 5:洞窟は従来のルートが土砂崩れで使えず、迂回路を行く。幽霊や鬼火と出くわしたり、川を渡ったりする。
 6:夢に見た場所へ出る。小さな石碑。子どもへの追悼。花びらが舞い上がる。
 7:エピローグ。
 こんな感じで、それぞれB5のレポート用紙1頁ずつに書いていきます。
 とにかく、行動判定をする、交渉判定をする、戦闘をする、魔法を使わせることを念頭に、単純なシナリオにしました。
 難しい話しになりそうになると「これはテストプレイ。ルールを覚えることが先決」 と自分に言い聞かせます。
 主人公を物語に引っ張り込むのには、短剣(ショートソード)を使うことにしました。
 「Roads to Lord」のキャラクターは、生まれによってはまったく武器・防具が持てないほど貧乏で庶民的になります。これを救済する措置として短剣を与える、と見せかけて、実は……という仕掛けです。
 はたして、やしちの作ったキャラクターは、いかにも「Roads to Lord」らしい貧乏人になりました。いやまったく貴族などに生まれなくてよかったよかった。

 「おかえりの樹」というタイトルを決めて、シナリオは完成。
 「ザ・ストレンジソング」に掲載されていたシナリオ「さよならの城」、舞台となる村の近くにある“帰らずの森”イラフノウム、ときたら「おかえり」をつけたいな、と。
 この日、3週間ぶりにやしちが帰ってきました。

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花びら キャラクターメイク編

花びら リプレイ「おかえりの樹」1

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