Roads to Lord

比較研究論

2.キャラクターの冒険

4.戦闘

■初代ローズパルマの場合。

戦闘に入ると俊敏性の高い方から行動します。
初代ローズの頃はシミュレーションゲームの時代なので、戦闘にもボードやヘックスシートの使用を推奨されています。ここは、ボードゲームの「Kings & Things」のタイルを使うことにします。
パルマとスケルトンの間は2マスあります。

パルマ
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:2D6-1(ショートソード) 防御値:1

スケルトン
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:1D6 防御値:0

1ターン目:先攻は「俊敏性:9」のパルマです。まず、ナイフを投げます。射程距離は6マスで、射程距離の半分までは修正なしなので、2マス差は充分に狙える距離です。
前例のスリと同じで俊敏性の対抗RRです。差はパルマのプラス2。行動判定成否表を見ると命中率は55%です。
1D100の結果は「00」! つまり100、つまりファンブルです! アクシデント表を見ると、100は「すべって転倒+気絶」!
ナイフを投げようとしたパルマは、ひっくり返って頭を打ち、伸びてしまいました。

ちなみに「01~05=クリティカル」「96~100=ファンブル」です。
その効果は01ならば「相手は直ちに死亡」、100ならばパルマのようになるわけで、つねに1%の即死、1%の即気絶が起こる可能性があるわけです。どんなに強くなっても。いかに戦闘がハイリスクなのかがわかります。
しかし、これでは例になりません。ここはサンプルらしく、やり直しをします。

もう一度1D100の命中判定から。出た目は「04」! 今度はクリティカルです! 04は「ダメージが3倍」になるというボーナスがあります。が、「ナイフ:1D6-2」のダメージを振ると2が出て、ダメージは0。0を3倍しても0ですから、ダメージはありません。
のっけから、ダイスにからかわれているような気がします。

スケルトンの反撃です。移動力の半分のマス目(端数切り上げ)までは移動攻撃ができます。スケルトンの移動力は3ですから、2マス進んでパルマに近接し、攻撃します。
俊敏性がパルマより2つ低いスケルトンの命中率は45%です。1D100の命中判定は「08」で命中。しかし、1D6の打撃は「1」で、パルマの防御力「1」に阻まれてダメージが通りませんでした。

2ターン目: パルマも近接戦闘に入り、ショートソードで攻撃します。命中判定は72で失敗。
俊敏性では劣るスケルトンは、パルマに組み付いて白兵戦を仕掛けます。
白兵戦に入ると体力で命中判定します。どちらの攻撃も+30%の修正がついて命中しやすくなり、消耗戦になります。
まず、白兵戦に入るための判定をします。これは、「俊敏性」を基準とした判定で、通常の戦闘と同じです。
「1D100=63<48」スケルトンはパルマに組み付くことができませんでした。

3ターン目: パルマの攻撃、ショートソードが命中、「2d6-1=6」スケルトンに6点のダメージを与えました。 ダメージは「体力」、「俊敏性」、「精神力」に割り振られます。2点以上のダメージは2項目以上から差し引かなくてはなりません。 スケルトンは「俊敏性」と「体力」に3点ずつのダメージを受けました。 スケルトンの近接攻撃はパルマにかわされました。

パルマ
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:2D6-1(ショートソード) 防御値:1

スケルトン
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:1D6 防御値:0

4ターン目: パルマの攻撃、スケルトンは俊敏性が下がっているので差が5となり、命中率が60%になっています。「1D100=28>60」で命中、しかしダメージは1点とかすり傷です。
スケルトンの反撃、命中率は40%に低下していますが、判定で17を出して命中させます。1Dのダメージは3点、パルマは「体力」から1点、「精神力」から2点を減点しました。

パルマ
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:2D6-1(ショートソード) 防御値:1

スケルトン
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:1D6 防御値:0

5ターン目: パルマの攻撃、「1D100=45」で命中、「2D6-1=9」で9点のダメージを与えました。
スケルトンは「体力」に4点、「俊敏性」に4点、「精神力」に1点を受けて、「体力」以外の項目が0点になってしまいました。
「体力」が0になると「死亡」、「俊敏性」が0になると「移動力」も0になり「疲労」状態、「精神力」が0になると「気絶」になります。
こうなるともう行動することができません。パルマの勝利です。

パルマ
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:2D6-1(ショートソード) 防御値:1

スケルトン
体力俊敏性精神力魅力移動力
攻撃:1D6 防御値:0

補足: こうして、われらがパルマ君はスケルトンにうち勝つことができました。しかし、最初にいきなりナイフを投げようとして転んで気絶をした、というファンブルを「なかったこと」にした上での勝利です。
初代Roads to Lordの戦闘は、クリティカルとファンブルによって、いともたやすくこうした展開が起こりえます。
ルールブックにはこう書かれています。

戦闘は極めて危険なことです。シナリオの目的が相手を倒したりすることでもない限りは極力戦闘を避けるのが賢明なプレイヤーのすることです。どんなに強力なキャラクターも敵の「致命的打撃(クリティカルヒット)」を受けて倒れることがあり得るからです。 しかし、どうしても避けられぬ戦闘があるのも事実です。そんな時、以下のルール(戦闘ルール)に習熟することは重要です。

現在でこそTRPGは、戦闘重視ばかりではないシステムが増えています。
しかし、この初代ローズが発売された1984年の時点、RPGと言えば「D&D」、コンピューターなら「ウィザードリー」という時世で、このような提案がされていたことには驚くばかりです。
この姿勢はBローズ、Fローズにも引き継がれ、Roads to Lordシリーズは「英雄的なヒロイックファンタジーとは違う」というイメージがあります。 その際に語られるのは背景世界であり、独特の魔法が中心ですが、「戦闘」というものをどう考えるかというところにも、このシステムの特徴があるように思われます。

■Beyond Roads to Lord

■Far Roads to Lord

2001/06/19

■キャラクターシート

初代Roads to Lord  パルマ
Beyond Roads to Lord  バストス
Far Roads to Lord  チエテ

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