Roads to Lord

比較研究論

2.キャラクターの冒険

 さて、3世代のRoads to Lordから生まれたキャラクターたちが冒険に出たら、いったいどうなるのでしょう。ある場面を設定して3人に挑んだ様子をレポートしていきます。

1.一般行動判定

 例1:3人の小人たちが旅をしていると、川に行き当たりました。幅は1.5m、深さはたぶん50cmくらいでしょうか。人間族ならばひょいと飛び越せそうですが、小人族の彼らには少々注意が必要なようです。

■初代ローズパルマの場合。「体力(St)」による判定、RR(リアルロール)をします。「俊敏性(Dex)」のようにも思いますが、こちらは手先の器用さを表すと解釈します。RRを成功するには「能力値+2D6」で「目標値」を上回らなければなりません。助走できる条件があり、手荷物が多いことを考慮して「目標値:14」としました。ハーフリングの平均体力6に対して五分五分と思われる可能性です。
RRの結果「6+4=10」<「14」:目標に-4の失敗です。
 残念ながら彼は目測を誤って、岸のはるか手前で落っこちてしまいました。おぼれるような水深ではありませんが、保存食などの持ち物が水に浸かってしまいました。

■Bローズバストスの場合。BローズのRRは大きく3つに分かれています。この場合に適用する「一般RR」、ほかのキャラクターなど相手に直接対抗する能力があるときに適用する「対抗RR」、特殊技能を使った行動をしたときに適用する「技能RR」です。
一般RRは「能力値+2D10」でGMが定めた「設定値」を目標とします。ここでは「運動+2D10vs設定値:15」としました。「気をつけていればふつう解決できる問題」というレベルです。荷物もそれほど持っていませんし、普通の山小人ならまず成功するでしょう。おそらく山小人の「運動」平均値は10くらいですから。しかし、彼は「運動:6」なのです。はたして?
RRの結果「6+13=19」>「15」:目標に対して+4の成功です。
 慎重にジャンプした彼は、意外にすんなりと向こう岸に着陸しました。

技能RR:Bローズには一般判定の他に「技能RR」という判定もあります。「乗馬」や「ガルプ語」「料理」などなど、PCが持っている特殊技能を用いるときの判定です。
技能RRは、「能力値のかわりに技能のLVを使用」します。「技能+2D10」の値を技能RR用のチャートに照らし合わせます。チャートには知識系、言語系、芸術系技能の結果が達成値ごとに記載されていますので、GMはそれを元に結果を演出します。

■Fローズチエテの場合。Fローズの一般RRは「能力値(魅力値)+2D10+関連技能レベル=達成値」が「難易度」を上回っていれば成功です。相手に対抗する能力がある場合はBローズと同じように「対抗RR」になります。川を飛び越す一般RRは「運動+2D10」になります。関連する技能はありません。彼も荷物は少ないので、「普通だったらたいてい成功する行為」として「難易度:15」にしました。
RRの結果「4+18=22」>「15」:目標に対して+7の「成功」です。
 彼はまるでなんてことないって風に軽々と川を飛び越えました。

 ここで気がついたのは、BローズとFローズで使用しているRRの難易度設定表が同じだということです。しかし、能力値の平均値には差があります。Bローズの人間族ならば初期の運動平均値は3D6で11でしょう。Fローズの人間族は「基本値3~5+1D6」で平均8くらいになります。つまり、同じ「気をつけていればふつう解決できる問題:15」の設定値・難易度であっても、Fローズの方が厳しいといえます。ただ、Fローズの場合は関連技能レベルを上乗せできるので、より易しくなる場合もありそうです。

2000/01/16


2.対抗判定

 例2:3人の小人たちは秘密の扉の鍵を盗むことになりました。ターゲットの男は人混みの中をぶらぶらと歩いています。すれ違いざまに素早くスリ盗らなければなりません。

■初代ローズパルマの場合。
まず、行動に該当する互いの能力値を比較します。スリなら手先の器用さを表す俊敏性(Dx)でしょう
。パルマの俊敏性は9、相手の俊敏性は人間族の平均値で7とします。差はパルマの方がプラス2です。
チャートの「行動正否表」を見ると、プラス2の成功率は55%です。
この成功率は差0が50%で、2差、5差、10差………と区切りごとに5%ずつ上がっていきます。マイナス差なら同じように5%ずつ下がっていきます。
この判定はパーセンテージロールですから、1D100を振ります。結果は「51」。ギリギリですが判定に成功、無事に鍵を入手しました。
ちなみに、スパイの技能4LVを加算したなら、差は6になります。区分は、5差と10差の間です。防御側有利に見るため5差の区分に該当し、成功率は60%となります。このへんはGMのさじ加減でしょう。

■Bローズバストスの場合。
対抗する相手がいる場合の判定は「対抗RR」と呼ばれています。
対抗RRは「該当する能力値+2D10」対「相手の能力値+周辺の状況」で行います。
スリは感覚で判定することとします。バストスの感覚は6、相手の感覚は人間族の平均値で10とします。周辺状況は人混みの中ですからスリには「良好:修正+5」です。‘クステ’の影響は特にありません。ちなみに「周辺状況:普通」は+10です。
結果は、バストス:感覚6+9(2D10)=15=相手:感覚10+5(状況)となりました。同点です。防御側優先にするか、PC優先にするかはGMの判断でしょう。
ここでは、スリ盗ることに成功はしたものの相手に気付かれた、という結果にしました。さぁ、バストス君は逃げ切ることができるでしょうか? というのは運動の判定ですね。

■Fローズチエテの場合。
対抗RRは自分も相手も「能力値(+技能)+2D10」の判定をして結果を比べます。
チエテの感覚は10、相手は7、両者ともスリに関する技能はありません。
結果は、チエテ:感覚10+12(2D10)=22>相手:感覚7+11(2D10)で、危うくもチエテの成功です。
チエテは、一瞬ひやりとしましたが、鍵をスリ盗ることができました。

3.クリティカルとファンブル

セッションの中で悲鳴や歓声がわき起こる瞬間、クリティカル(決定的成功)とファンブル(決定的失敗)について比較します。

■初代ローズ:クリティカルとファンブルについては、戦闘ルールについてのみ規定されています。したがって、戦闘の項目で詳しく紹介することにします。

■Bローズ:各種族ごとに「魔数」が定められています。RR(2D10)で魔数を出すと、さらに2D10を振り足すことができます。そこでまた魔数が出ると、さらに振り足していくことができます。
人間族の魔数は13、サンプルPCバストス(小人族)の魔数は7です。……あれっ、生まれ表では5って書いてある?! どっちなんだ。とりあえずルールブック本体にしたがっておきましょう。
ファンブルはピンゾロ、つまり2D10で2を出してしまったときに発生します。その行動は、何らかのアクシデントによって自動的に失敗してしまいます。

■Fローズ:PCが帯びている運命の星‘クステ’が幸運・不運に影響します。
クリティカルとファンブルの発生条件は同じで、2D10を振ったときにゾロ目(同じ目)が出たときです。
使用している能力値の幸運な状況・不運な状況表を確認します。この状況には、「人が多いとき」、「にぎやかな場所」などの雰囲気から、「地下」「墓地」といった具体的な場所、「晴天」「嵐」など天候の条件などの状況が、キャラクター作成時に書き込まれています。この条件の傾向は‘クステ’によって決定されています。
たとえば‘クステ’が「大龍の瞳」であるチエテが殴り合いをしていたとします。「体力」の「幸運な状況」は「血の匂いがする」時で、「不運な状況」は「詩や本の朗読が聞こえる」時ですから、2D10でゾロ目を出したら「幸運な状況」が適用されます。
クリティカルは、一般行動RR及び対抗RRは無条件で成功となります。達成値を上限なしで求める判定(歌を歌うなど)なら、2D10の値が21になります。
ファンブルなら完全失敗か、2D10の値を0として計算します。
「幸運な状況」にも「不運な状況」にも該当しないときは、普通に計算します。
いずれにせよ、ゾロ目を出した時には、その値と同じ番号の感情値が1D6上昇します。感情値については、別項にて。

2001/06/06

次回はいよいよ戦闘ルールについてです。文中のわかりにくかったところ、疑問、提案など、ご意見・ご感想をお待ちしています。

■キャラクターシート

初代Roads to Lord  パルマ
Beyond Roads to Lord  バストス
Far Roads to Lord  チエテ

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