date:'94/3/13 GM:ya!
小さな村で赤子が赤い瞳の化け物にさらわれた。しかしその裏には吸血鬼と人間の愛憎が隠されていた。
旅の途中、村に宿泊することになった、火妖ハッシェンカは広場で「間抜けな間男」のコメディソングを歌った。
しかし、村人たちは笑わず、不穏な空気で黙り込む。
「なにが悪かったのかしら?」とハッシェンカは首をかしげた。
後にわかったことだが、この村の前徴税官が未亡人の女性に手を出し、むりやり関係を持っていたことが、公然の秘密となっていたのだ。
その女性は、どこかピントがずれていた。
奪われた赤子のかわいらしさを話す様子が、偏執的といってもいい。
赤い瞳の化け物が、赤子を奪っていった。彼女が持っていた水神「蒼海の」アウルの護符を見て、逃げていったという。だが、周りの者はそれを信じていない。
徴税官だった男は、狂人となって徘徊している。
「おれは、おまえなどより、ずっと金持ちなんだぁ。寄るな、貧乏人ども!」
ハッシェンカが話を聞こうとするが、「寄るな、おまえは死んだんだ、俺が殺したはずだ!」と叫ぶ。
あの女性の夫のことだろうか?その死には、不審なところがあったと噂の‥‥。
村の片隅から、火の手が上がる。赤子を奪われた女性の家からだった。
駆けつけたハッシェンカは、その火妖ならではの能力で、炎の中に飛び込み救助活動を始める。彼女を無事に救助した後、赤子を抱えた賊を発見し追跡した。
ハッシェンカは賊を追い、森を駆け抜けて古城に入る。
螺旋階段を上がると、こつぜんと暗い瞳の男が現れた。
「なぜ、我らに手を出した。」
その男はこの赤子の父であり、かの未亡人の夫。だが、徴税官の企みで殺害された後、吸血鬼となり果てていた。人ならざるものとなった後、妻の元を訪れ、子を成してしまった。その赤子が半吸血鬼として人の中で育つより、自分の元で育てる気になった。
「知ったからには、返すわけにはいかない。」
吸血鬼と対峙したハッシェンカは、持ち前の光剣と魔法で対抗するが、ついに手下に剣を奪われてしまう。愕然とする彼女の背後に、吸血鬼の影が忍び寄り‥‥
熱い痛みを首筋に感じながら、ハッシェンカは意識を失っていった。
旅人の記録 | ||
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名前 | 性別 | 種族・出身 |
ハッシェンカ | 女 | 火妖 |