Far Roads to Lord 冒険記録集

白鳥秘話

date:'97/1/6   GM:うらべっち


「緑の風の音の街」メディリオノイルで建築中の大劇場。そのこけらおとしには、20年前に伝説となった「白鳥秘話」という歌舞劇を上演する。主役サギリを演ずる娘は、二人の候補者による試演会で決定される。一人はこの街でNo.1の呼び声高い天才少女シュナック。もう一人は小さな「シテリー歌舞団」の若手・マイ。妨害などから窮地に立たされているマイを救った四人は、彼女の出生の秘密を知り・・・。

不思議な夢を見た。
白鳥の舞姫が湖面をすべるように踊っている。白き腕は闇に残像を描き、ゆるやかに舞う。高く天を指す右足、つま先で体を支える左足にも、まるで重さというものが感じられない。限りなく淡い銀髪がふわりとゆれ、湖より深い蒼の瞳が胸に残る。
そんな夢を見た。

風の強い日。街角でよっぱらいを演ずるヤクザ者が少女を恫喝する場面に出会う。地元の宝石細工職人のジグは懸命に割って入った。ストラディウム兵士のロダンが長剣を抜けば、さすがに男たちは退散する。「白鳥秘話」を調べていた考古学者ローゼン、とおりがかりの元人妻ティファらも交え、脅されていた少女マイを護衛する依頼を受ける。依頼人はプロデューサー。「白鳥秘話」主演を決める試演会が近づくにつれて、マイの身辺に危険がふえているという。

稽古場で起こる少女たちのいじめ。ライバルの天才少女シュナックを推す演出家の厳しい叱責。何よりも四人が警戒しなければならないのは、マイ自身の変調だった。彼女が眠ったときに目覚める碧眼のマイは「森へ帰りたい」とつぶやく。

通し稽古の初日、妨害により薬を飲まされたマイは控室で眠り込んでしまう。しかし、蒼い瞳のマイが稽古場にあらわれ、人のものならぬ舞を見せる。嫉妬から反発していた少女たちにもため息をおこさせるほどの。
マイを森へ連れていこう。四人はそう決断した。

霧の立ちこめる湖のほとり、白梅の下に花よりも白い肌の女性があらわれる。
「よく来ましたね。わたしの娘」
蒼い瞳のマイ「やっと帰りました。お母様」
「白鳥秘話」に描かれる精霊サギリと人間の男から生まれた娘が少女マイ、彼女は人としてのマイと精霊としてのマイが同居したまま成長してきたのだった。
この森で生きることを願う蒼い瞳のマイと、舞台に立ち「白鳥秘話」を演じたいと願う黒い瞳のマイ。母は四人に「これ以上二つの心が一つの身体にいることはできない。どちらも本当のマイならば、両方を知っていて利害がないあなたがたに決めてもらいたい」と伝える。人の思いが、マイをこの世につなぐ魔法に影響するから。

四人は夜を徹して議論した。
そして、母・サギリに思念(マジック・イメージ)により、どちらを選んだか各々が伝えることとした。人の子なら「赤・四角」、精霊の子なら「白・円」を伝える。
「赤」「四角」「円」「四角」
3対1で、マイは人の世に帰ることとなった。

メディリオノイル劇場こけらおとしの当日。
先に街を立ち去ったティファをのぞく三人は、主演女優のマイから届いた招待状を手に、劇場に足を運ぶ。
躍動感にあふれた少女の初々しい舞い。しかし、精霊サギリが人の世に裏切られる悲恋の場面、彼女は透きとおるような存在感に変わる。一番良い席で観ていた三人には、その時マイの瞳が湖のような蒼だったように見えた。
カーテンコール。鳴りやまぬ拍手の中、幕が下り、そしてこの物語の幕も下りる。

旅人の記録
名前性別種族・出身名前性別種族・出身
ロダン・ディール男・20歳人間・戦士ジグ・バウン男・17歳人間・職人
ローゼン・クロイツ男・39歳人間・学士ティファ・クルール女・17歳人間・農民


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