Far Roads to Lord 冒険記録集

「ひとつの指輪」の願い

date:'94/9/11   GM:うらべっち


メディリオノイルの街では“どんな願いでもかなえる指輪”ファルセリオのうわさで持ちきり。河小人、怪盗、歌姫たちと、指輪自身の願いがからまりあって……

 森妖精ザルバリュースは、前回の仕事でドジを踏み留置場に入っていた。待ち望んだ釈放の日、警備兵のナイルは「もう来るなよ」とザルバを見送る。
旅芸人一座『猿の宴』の道化師ラウロウは、広場で悪党のエストバーンに財布をスラれる。が、まったくそのことに気がつかず、芝居を見物。
エストは広場で歌姫エウヴァに一目惚れ。その指には町で噂の指輪がきらめいていた。エウヴァを尾行するエストら悪党たちに気づき、その後を警備兵のナイルが追う。

 町外れの墓地。墓参り中のエウヴァを悪党たちが囲む。ナイルとその後援に来ていたザルバが、歌姫の危地に乗り込む。さらに謎の龍人族(光流走)も現れ、指輪を奪おうとする。エストは悪党の仲間を突如裏切り、エウヴァを救う。ドタバタの中、指輪は悪党が持ち逃げする。それを謎の光流走が一人後を追う。
一方、芝居見物にはまった丘小人ラウロウは「白樺姫」を観劇した後、広場で20匹もの猫の暴走に巻き込まれる。気がつくと、彼の指には金の指輪が光っていた。そのあまりの美しさに「フクちゃん」と名付け持ち帰る丘小人。

 夢の中でラウロウは指輪ファルセリオの精霊と対面する。
「わたしの名前はファルセリオです!」
ファルセリオは自分の造物主カラクに会いたいと訴える。
酒場でラウロウ、ザルバ、ナイル、エストが指輪をきっかけにして出会い話し合う。歌姫エウヴァの許可を得て、これをカラクに返すため動くことにそれぞれが合意した。
酒場ではラウロウは、彼の命を狙っている商人に出くわすが、指輪の力で姿を消し、事なきを得た。
「愛しいしと~」とこの指輪を執拗に追う河小人をかわして、広場に張り紙をしてカラクを待つが、快盗“灰色の”イーヴォに指輪を盗まれてしまう。

 ラウロウに変装した“灰色の”イーヴォとラウロウ本人、二人まとめてナイルは警備詰め所に放り込む。だが、誤って鬼火を呼ぶ魔法が発動したためパニック、快盗に逃げられそうになる。あやういところで捕まえるが、指輪は下水の中へ……。

 ラウロウは、河小人、コウモリ、ワニの襲来をかわして、指輪ファルセリオを回収。広場でボラボラじいさんから情報を聞き出し、グンドのほこらでカラクを待つ。河小人の追求を三度かわしたところで、ナイルを出し抜いた“灰色の”イーヴォが登場。しかし、おそるべきエストの暗夜刀で“灰色の”イーヴォは絶命してしまう。
ザルバがカラクを見いだし、指輪を持つラウロウの元へ連れてゆく。しかし、再会に喜ぶ精霊ファルセリオに対して、カラクは剣を抜き放つ。
「ささやかな願いを叶えるためにつくったお前は、欲望の指輪となり果ててしまった。これ以上無用な争いを起こさぬよう、わたしの手でお前を壊そう」

 頑ななカラクに、四人は懸命に説得を試みる。その想いが媒体となって、ファルセリオは唯一目覚めていなかった感情、悲しみを覚える。真珠色の瞳から宝石のような涙がこぼれ落ち、精霊ファルセリオはついに人間として生まれ変わる。
「本当に人間になったのか?」
呆然とするカラクと、自身の願いが叶ったことを喜ぶファルセリオを残し、4人はその場を立ち去った。

 殺人を犯したことを反省し、憎しみを捨て去ったエストは覚悟を決めてナイルに連行される。しかし、目の前に現れた門は牢獄の門ではなく、草原の街道に続く北門だった。
「どうやら方向を間違えたらしい」
とぼけてナイルはエストを送り出す。
一週間後、ラウロウは『猿の宴』の舞台に立つ。エストをのぞくオールキャストが客席に集う。
舞台の幕は上がり、この物語の幕は下りる。

旅人の記録
名前性別種族・出身名前性別種族・出身
ラウロウ男・45歳丘小人・元族長ザルバリュース森妖精・ナーハン
“鋭き”ナイル男・19歳人間・戦士“風に歌う”エスタヴァーン男・22歳人間・流民


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