Far Roads to Lord 冒険記録集

死の伝染

date:'96/03/03   GM:うらべっち


 聖都ファラノウムから徒歩半日に位置する、平凡な谷間の村トラジャ。
しかし、平和な村にある日、ファラノウムから訪れた一人の男が発端となり、村中に死の呪いがはびこる。
全滅の危機を迎えた村に、通りがかりの、あるいは調査に訪れた三人の青年たちが足を踏み入れる。三人の目前で次々に死んでゆく村人たち。村の出入り口を封鎖する、謎の騎士団。
やがて、三人も呪いの力に蝕まれてゆく……。

 「嬰児は生まれる。死を呑み下し産声を上げん!」白目をむき、男は禍々しい言葉をつぶやき続ける。「どうしたんだ!」とガズルが肩をつかむと、男は凶言を叫び、鮮血を噴き上げこときれる。土は赤黒く染まり、やがてその赤い塊が動き始める。どこかへ向かっているようだ。大人たちの生存者はわずか。心優しい騎士クウォークは子どもたちの子守を務める。

 矢を射かけてくる騎士たちのため、村からは誰も出ることができない。夜番をしていた村の男がまた一人死んだ。パニックが村を取り巻いている。探求者オーゼルは、夜通し災いのマジックイメージの意味や、その対処法、原因を調べ続けている。クウォークは赤黒い塊から何かが生まれようとしている情景を夢に見る。そして、凶言の一部がふと彼の口からもれた。伝染……。

 死者の噴き出した血であった赤黒い塊たちは、風車小屋へ這いずりつつ集まっている。小屋の中では、何か異形のものが形成されつつある。幽魔誕生。ファラノウムから来た旅人がその書を持ち、村の中で怪死した日からこの災いは広がっている。書には呪いと同じ一節が記されている。ガズルの発案で、村中の人間の気配を消し、屋内に潜む。やがて村を包囲していた騎士と司祭が降りてくる。「オーゼルどの!」司祭はオーゼルの同僚ロイド。ファラノウムの貴族ヴァンス家の研究者が発見した幽魔の書が、この災いの発端だった。この包囲網はヴァンス家の口封じか。

 精霊を宿した鏡をロイドから受け取った三人は、呪いを解く調律魔法をつくり鏡に写し村人たちを解放する。風車小屋にて嬰児の姿をとりつつあった幽魔と対決。金の魔力を鏡で照射し塊を塵と化す。災いの傷は大きく、村は子どもたちの他、ほんのわずかばかりが生き残るのみ。村を救った三人は再びそれぞれの道へ。やがてヴァンス家を離れたロイドが、ここに孤児院「萌えぎの家」をつくり子どもたちと生きるのだった。

旅人の記録
名前性別種族・出身名前性別種族・出身
“銀の”オーゼル人間・学士男・28歳ガズル・ディーグ人間・盗賊男・32歳
クウォーク・トゥ・ティーレ人間・騎士男・21歳


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