絵・林蔵さん
「ではリュウノアゴヒゲよ、おまえさんはどう思うのじゃ」と、老人は言った。
リュウノアゴヒゲは、ちょっと困ったようにもじもじしたが、やがて
「……きっと、それはホシクジャクの精の卵だ……。むかし、ミサキカモメのおかあさんが南の丘で話してくれた話に出てきたから、 ―― 思い出した」
ミサキカモメは興味深そうに、その石のようなものを手にとった。
「 ―― 思い出した。おかあさんがよく話してくれたもの。自分は死んだら、ホシクジャクの精のようなきれいな精霊になるんだって。でも、あの赤い目だけは怖いからいやだって言ってたわ」
「ふむ。 ―― なるほど……。もっとよく見てごらん」
老人がミサキカモメを促した。(僕も含めて)皆は目を皿のようにして、その石のようなものを見つめた。