医師・柔道整復師の療養費不正請求のニュースにため息しか出ない


いつも遊んでいるようなブログばかり書いていますが、毎月恒例の繁忙期です。
月初に日曜とか祝日あると、はかどらなくて大変です。

訪問マッサージ治療院の療養費支給申請書を、ようやくまとめ終わって、チェックも終わっての帰り道。
このニュースが飛び込んできたわけです。




えぇえぇ!? い、いちおく!?

こちとら、800円の往療費追加が間違っているのいないので神経を尖らせているだけに、どうしてそんなことがまかり通るのか耳をうたがいました。

美人タレント医師が誰とかはどうでもいいです。

それと同時に、「貧すれば鈍する」という言葉が、頭に浮かんで離れなくなりました。昔の人はうまいことを言う。

暴力団が背景にいたそうです

関連ニュースの中では、こちら現代ビジネスの記事が詳しく書かれていました。

引用元リンク>人気美人女医、芸人も関与!暴力団が主導する「診療報酬不正請求」が間もなく立件へ  | 伊藤博敏「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]

今回は、暴力団を担当する警視庁組織犯罪対策4課が摘発するとのこと。

 事件の構図を描き、仲介者を利用。経営不振に喘ぐ医師や柔道整復師を集め、患者を用意し、内容虚偽の診療報酬明細書(レセプト)を作成させ、医院が受け取る療養給付費を“山分け”するシステムを作ったのが、広域暴力団だったためである。

被保険者=患者役として集められた人の中には売れない芸人も。
医師・柔道整復師と、暴力団、その手下の患者役がグルになって、健康保険証を使いまくって、不正な診療費・治療費を請求しまくって、保険者から巻き上げた金額が1億円超ということですね。

お医者様は嘘つかないという前提

上の記事にも書かれていますが、病院・医師が嘘をつかないという前提で成り立っている保険請求制度。

そりゃあ、わたしだって療養費申請書を作る時は施術者の報告書を元に作成していますから、そこで嘘を書かれればわからない可能性はあります。

でも、申請書の署名・押印は患者様や、自筆ができない方にはご家族・介護者の方に代筆していただいているので、その時に申請書もいったんお渡ししているわけです。

もしも週1回しか行っていないお宅に、月15回も行っているマークが付いていれば、患者様側で気づかれるのです。

しかし、その患者側でさえグルだったら……やろうと思えばできてしまいますね、架空請求。

医療費・介護費が巨額予算だって?

 医療と介護を合せて56兆円にも達する日本の現状を考えれば、この巨額予算に目を付け、その収奪に工夫を凝らす反社会的勢力がますます増える。今回の事件は、その構図を暴き、いち早く警鐘を鳴らす。幸い、マスコミ受けする美人女医の存在もあって、大きく報じられよう。

医療保険制度に関わるわたしも、介護保険制度に関わる夫(介護士)も、全然現場に下りてくるお金が足りているようには思えません。

充分な予算があれば、保険者が人手不足でチェックが行き届かないとか、
往療費は交通費含んでいるけど請求や同意書管理等の事務の手数分は含んでいないとか、
医療事務パートの時給が最低賃金+ちょびっとだとか、
ベテラン介護職の離職が相次いだり、
倒産する介護事業所が続出したりしないんじゃないですかね。

「貧すれば鈍す」

医師、柔道整復師、あん摩マッサージ師、鍼灸師、いずれも国家資格を持っています。

それらを取得するために数年の月日と数百万の学費をかけています。

しかし、需要に対して供給が過多になってしまったり、保険請求の手間が煩雑なあまりに「集患しますよ」という代行業者に半分以上のマージンを取られていたりします。

自分や家族が生活に困って食べて行くのが困難な時、目の前にちょっと書類上の不正をすれば、すぐにまとまったお金がもらえるという仕組みをぶら下げられれば……売れない芸人だって、施術者だって、医師だって、手を出してしまうのでしょう。

わたしが関わっているのは、あん摩マッサージ師の訪問マッサージのみですが、かなり制度が古いことを感じています。

これまでとは別の視点から、新しい仕組みを作って、施術者も患者も医療保険制度も、もっと風通しよく使いやすくできないものでしょうか。

くれぐれも、さらに重箱の隅をつつくような間違い探しの方向に、人力が投入されないことを祈ります。

でも、きっと色々融通きかなくなるんだろうなぁ。

氷山の一角とは言っても、大洋の中の一部

不正請求の摘発は氷山の一角、とよく言われます。
まるで、保険請求業務のほとんどが不正のようなイメージを持つ言葉ですが、実際は氷山が埋まっているのは世界中の海の一部地域…海域です。

多くの医師、施術者は、充分ではない報酬でやりくりしながら、目の前で苦しんでいる患者のために技術を尽くしています。

これから津軽は冬に入ります。もう、冬タイヤへの交換が呼びかけられる季節です。
雪が無い都市の6kmも、地吹雪でホワイトアウトする中を走る6kmも、支給される金額は同じです。

今回は、一代行業者の嘆きでした。
代行業者って言っても色々なのですよ。
暴力団までいかなくても、質の悪いフランチャイズ業者もあります。
そういう会社と、ひとくくりにされないように頑張ります。