学校へ行きたくないあなたへのメッセージを、プロブロガー・イケダハヤト氏に聞きました

“18歳以下の子どもが一番多く自殺する日が、学校が始まる9月1日である”
というデータが内閣府から公表され、悩んでいる子どもに向けて多くの人がメッセージを出しています。

9月1日子ども自殺:樹木希林さん、茂木健一郎さんらメッセージ / 不登校新聞
お、家入一真さんもおられますね。

また、鎌倉市図書館のツイートが8/29現在9万リツイートを突破しています。

わたしも不登校していた頃は私設の図書館にお世話になりました。田舎町だったので、日中に行ける場所はその図書館と児童館でした。お世話になった大人の方、ありがとうございます。こうして生きてます。

そんな中、オンラインサロン「イケダハヤブログ塾」でお世話になっているプロブロガー・イケダハヤトさん(運営ブログ:まだ東京で消耗してるの?)にインタビューし、ご自身の学校生活の思い出と、学校へ行きたくない子へのメッセージをうかがいました。

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イケハヤさん、初インタビューのお相手よろしくお願いします

斎藤:インタビュー初めてなので、とても緊張しています。よろしくお願いします。
今日は、9月1日に子どもの自殺がもっとも多いということがニュースになっていますが、それに関連してイケダさん自身が学校に行っていた頃どんな風に感じられていたか、学校へ行けないと悩む子へのメッセージをうかがいたいと思います。

イケダハヤト氏(以下イケダ):はい、よろしくお願いします。


語り手:イケダハヤト氏

語り手:イケダハヤト氏

聞き手:斎藤美佳子

聞き手:斎藤美佳子


パソコンに熱中した中学時代、部活に打ち込んだ高校時代

斎藤:まずは、イケダさんご自身の学生生活からうかがいたいのですが、中学校1年の頃にWEBサイトを起ち上げられて、とてもたくさんのアクセスを集められたとプロフィールで拝見しました。学校に行っていた時はどんな思いでしたか?

イケダ:僕はどちらかと言うと、クラスの中心にいるようなタイプではなかったんですよね。どちらかと言うとオタクっぽい感じだったんですが、友だちがいたのがすごく助けられたなと今になって思います。
当時中学1年の頃、パソコンを持ってた子が少なかったんですよ。僕はたまたま親から買い与えられたんですが、学年で数人はそういう子がいて、そうするとすごく仲良くなるんですよ。
クラスや学年が違っても、パソコンという共通の話題で話したり、学校が終わってから秋葉原まで買い物に行ったりとか。
インターネット黎明期なので、いっしょにメーリングリスト運用したり、ホームページを作ったり。同級生にはほとんど理解されていなかったけれど、僕らはそれがすごく楽しくて。
そういう共通の趣味でつながる友だちがいたのは、すごくよかったですね。

斎藤:横浜の戸塚から秋葉原まで、けっこう遠いですよね。

イケダ:ははは、行きましたねー。学校終わって3時ぐらいから行って、秋葉原で買い物して夕飯食べてから帰ってくるという夜遊びをしていました。

斎藤:実はわたし、ハタチで東京の劇団に入って翌年の仕事が戸塚区公演の担当で、町づくり活動している人を訪ね歩いていたんですよ。イケダさんが小学生くらいの頃ですね(笑)

イケダ:そうなんですか、奇遇ですね(笑)

斎藤:それから、高校に入られて…

イケダ:高校では部活、吹奏楽部にのめりこんでましたね。
僕が行った戸塚高校は、吹奏楽部が全国で活躍するような学校で、朝5時半に起きて学校へ行って練習してました。たしか、正月ふくめて年間10日ぐらいしか休んでいなかったですね。
1年生の春から3年の夏までずっと部活の為に学校行っていました。それほど友だちつくるタイプじゃなかったけど、部活の友だち数人と仲良くなって。
もし部活に入ってなければ、なかなか居場所も作れなかったと思います。

イケハヤ式ひきこもり受験勉強で早稲田大学現役合格

斎藤:その後、早稲田大学政経学部に入られたということなので、学歴的にはエリートコースかなと見えますが。

イケダ:僕の数少ない自慢と言えば自慢で、戸塚高校は当時現役で早稲田に行ったやつがいなかったんですよ。僕はイレギュラーな異端児で、塾も行かないで3年の夏までガッツリ部活をやっていて、そこから現役で早稲田に合格したというのは、あの学校ではいなかったはずです。
高校3年間で、部活に想像以上に打ち込んで、1人こもって修行のように1日中楽器を叩き続けて、人って時間をかければうまくなるんだなということを学んで。

そうなると勉強も同じで、時間をかければ偏差値は上がりますよね。
僕は高校の夏から1日11時間勉強するぞとスケジュールを決めたんですよ。
それで、本当に正月も勉強してて、学校行く時間ももったいなくて、学校に行かずに受験勉強してました。たしか、最後体育の単位を落として怒られたんですよ、ははは。
そういうことをやる人ってあまりいないんですよね。普通なら塾とかに時間とお金をかけて通って、友だちとちょっとだべったりもして。
僕はひきこもって勉強してたので、半年間の詰め込みだけどヘタに高校1年から塾とか通っていた子より、時間数は多く勉強したと思いますね。それは、まあ、当然受かりますよね。

教育的なメッセージがあるとすれば、学生とか時間がある時に、1つのことにめちゃくちゃのめりこんで、「時間をかければ人間ってけっこう上手くなるんだよ」ということを、肌で実感できれば成長が早くなります ということですね。
ブログもそれと同じでやればやるだけ上手くなるんですよ。

斎藤:わたしもブログ塾に入って、やっとここ2ヵ月間毎日更新することを自分に課してできるようになりました。やっぱりそれで10年以上WEB日記的にタラタラ書いてきたものとは質が変わってきた感じがします。
関連記事>ブログを毎日更新することに挑戦した結果がじわじわ来ています

必要なのはつながり

斎藤:では、イケダさんは特に学校に行きたくないということはなかったですか?

イケダ:僕の場合はやっぱり友だちがいたので。学校の勉強は楽しくなかったけど、友だちがいて部活があって、という所属意識があったので楽しかったですね。それは恵まれていたと思います。

斎藤:わたしが不登校していたということを話した時も、相手の人が「自分も学校嫌だったけど、友だちがいたから行ってた」と言われることは多かったですね。
友だちがいなくて、学校に行きにくいとなると、だんだん足が向かわなくなって、でも行かなきゃという中でがんじがらめになっていってしまう。

イケダ:まさに、そうですね。

斎藤:わたしは小5から中学校出るまで不登校して、途中フリースクールに通うようになったんですが、フリースクールは私塾扱いなので、学歴としては中卒なんです。
それでも、自分で稼いで食べているので何とかなると思っているんですが、そういう人に会うことが少ないので、どうしても親としては「学校に行って欲しい、せめて世間並みに高校くらいまでは卒業して欲しい」という思いが出るんですよね。

イケダ:でも、もうそういう時代ではないですよね。 僕の周辺を見ても中卒で活躍している人も全然いますし。
みんな、勉強しに学校に行っているわけではなく、友だちを作ったり、尊敬する人に会うために行っているので、そういう人がいなくて不登校になるのであれば、別の場所に行けばいいだけであって。 今はホームスクーリングと言うんですか、家で勉強させて、地域のつながりの中で子育てをしている人も、実際に高知にいるんですよ。

もちろん、すごく辛い状況に子どもも親もあるというのは承知のことですが、そこでどん詰まりの方ばかり見てもしょうがない。
必要なのは「つながり」なので、それが提供できれば子どもはちゃんと育ちます。
つながりが担保できていれば学歴がどうであっても何とでもなる。お金を稼ぐということとは関係無いですから。
親も大人も安心して見守って、地域や僕のような部外者も含めて、困っている親子をちゃんとよそのつながりにパスしてあげるというのは大事ですね。

オルタナティブな教育に目を向ける

斎藤:このインタビューの前に、イケダさんのブログを読み返していて、オルタナティブな選択肢について書かれた記事を読みまして、まさにこれだな、と。
参考リンク>公教育は時代遅れ。広がる普通の学校「ではない」オルタナティブな選択肢 : まだ東京で消耗してるの?

イケダ:逆に疑って欲しいのは、一般的な「学校」がいいのか?ということですね。
逆の発想で、そんな学校であれば通わせない、他の学校に通わせるという親たちも出てきている。
僕が住んでいる地域はけっこういいところなので、(娘を)ここの学校に通わせようと思っていますが、もし東京にいたら地元の学校にはマジで入れてなかったと思います。無認可のオルタナティブな学校に入れていたでしょう。
僕の友人は日本人なんですが中華学校に入れていましたね。正規の学校ではないので小卒とかになるんですが、得られるものがすごくあるということで、始めから普通の学校に入れていない。

子どもが不登校になる劣悪な教育環境が当たり前に用意されているけど、もっともっといい教育をしているところはあるので、ポジティブにそういうところを見に行くというのもいいです。
辛い環境にある中で難しいかもしれないけれど、そもそもその学校は本当に行くべきなのか、よくよく疑問に思った方がいいです。

斎藤:わたしが行っていたフリースクールもそうなんですが、民間で個人で始められているので経営が不安定で、何度か場所が引っ越ししたり、途中で休止したりがあったんです。
いま、そういう学校以外の教育の場所の運営を国や自治体が財政支援しようとか、教育バウチャー制度(※子どもの教育費に充当できる引換券配布)にしたらどうかなどなど審議が進められています。

参考リンク >フリースクール:容認 不登校児の義務教育 法案提出へ - 毎日新聞
【公開】多様な教育機会保障(仮称)法、未定稿条文案が発表 / 不登校新聞

一方、これまでは不登校で自宅にいても校長の裁量で中学卒業証書はほとんどもらえていたのが、法律ができることで親が学習カリキュラムを作らなきゃ中卒にもならなくなるんじゃないかとか、戸塚ヨットスクールみたいな更正施設的なところと線引きできるのか、民間私塾の金稼ぎに利用されるのでは、という課題も議論されています。

イケダ:あぁ、そこの教育の質についての議論になってくると、主観になってめちゃくちゃ難しいですよね。戸塚ヨットスクールだってもしかすると一部の親子にとっては良かったかもしれない。それは、主観的な評価に過ぎなくて。
いま、ちょうど 「学力」の経済学 って本をを読んでいたんですよ。
教育学者の方が書かれた本で、主観的、経験的な話しではなく、もっと学問的に教育の効果を立証していきましょうと強調されています。
こういう教育すると学力も高まるし、社会的な資本、つながりが増えていきますよ、ということを科学的に効果を立証して、それを元に教育の政策を考える。
もう欧米ではやっているんですけどね。
日本だとおじいちゃんの経験の話しになって、「わたしが子どもだった頃は道徳が大事だった」と道徳が重要になっちゃったりする。
そういう話しではなくて、各教育の科学的な検証をして、法律、認可の基準を作っていくということが重要なんでしょうね。

たとえば、神奈川の藤野にシュタイナー教育を小・中・高校と一貫して受けられる学校(学校法人シュタイナー学園)があって、そこで育った子がもう出てきている。
そういうオルタナティブな教育を受けた子がどう育っているかということは、もう研究されているはずなので、そのあたりをヒントにしながら、新しい教育を既存の制度に取り込んでいけるとまた変わっていくでしょうね。

明日、学校へ行きたくない子どもへ

斎藤:あと数日で学校が始まるというまさに今、「学校行くの辛い、もういっそ死んでしまいたい」と辛い思いをしている子どもや親に、イケダさんからはどんなことを伝えたいですか?

イケダ:別に学校へ行かなくてもいいんじゃないですか(笑)。
そんな深刻に考えるほどの話しでもないし、大人なら会社が辛かったら辞めればいい話しですからね。ガマンするよりは辞めて、環境を移す方がよっぽど幸せになれるので。

不登校になるというのは健全なこと。悪い環境に放り込まれて、そのまま大人になれる方が怖い。それは自分を殺して生きることです。
僕は物を書いている立場なので、嫌な環境をガマンできないのは才能だと考えています。
多くの人はそのおかしさを耐えられる。
でも、それだと面白くないというか、世の中が変わっていかない。
おかしさを感じて学校に行けなくなるような人たちがいるから新しい選択肢ができて、社会で同じような問題と合流して流れが変わっていく。
学校に行けなくて9月1日にお腹が痛い。それはもうすごいことなんですよね。
そういう社会に対する感度を持っていることは、ある意味でめぐまれていることだと僕の観点からは思っています。
ある種、社会の端っこにいるというのは重要なポジション。悪いことではないです。その立場でないと見えないことや、できないことはたくさんあるんですよね。

斎藤:本当にそうですよね。

イケダ:だから、悩んでいる子がいたら言えることは、学校に行かないことは悪いことでは無い。別に学校に行かないで大人になった人もごろごろいるので、まったく気にする必要はない。
あなたは間違ってない。あなたの方がある意味正しい。
その立場から世の中を面白く見ることができる。
すごく苦しいだろうけれど、世の中には追い込まれた状況から見えることがたくさんあって、その方が社会を変える本質的な力があったりする。
うまく自分の心をコントロールしながら、可能であれば、世の中の新しい動きを作っていく方になれる。 そんなポジティブなエネルギーを持ってみる、ということを伝えたいですね。

これから子どもが入園、入学します

斎藤:イケダさんは娘さんが来年から幼稚園か保育園の年頃でしたっけ?

イケダ:そうです。来年あたりから通わせようかと。

斎藤:うちは息子が来年から小学生で、また学校とのお付き合いが始まるんです。

イケダ:おおー、そうなんですね。斎藤さんなら、どんな風でも子どもは安心なんじゃないですか。

斎藤:わたしも自分の不登校経験からすると、嫌がる子を無理に引きずって学校に連れて行くことができなさそうなので、その時はどうやって仕事しようか、今から考えています(笑)

(2015/08/28 高知県本山町と青森県弘前市にて)


動画インタビュー

動画インタビュー




30分間、ネット越しのインタビューでした。

最近ブログで始められた質問コーナーを見ていて、会社へ行きたくなかったら辞めるべき、というイケダさんなので、きっと学校に対してもそうだろうとは予想していました。
参考リンク>自分の考え方を変えたければ、まずは環境を変えるべきです : まだ東京で消耗してるの?

でも、これだけはっきりと、学校や会社に行けない人たちがいるからこそ社会が変わっていく、というメッセージをいただいて、元不登校児としても勇気をもらいました。

1年前、求職するか起業するかで悩んでいた時期に、書店で著書「旗を立てて生きる」を手に取ったことがきっかけで、イケダさんのブログを読むようになり、オンラインブログ塾にも入りました。
この本では問題意識を持って世の中に発信していく=旗を立てることをすすめられています。
それは、自分が不登校をしていた経験から、「もっと多種多様な生き方が認め合える世の中になって欲しい」という思いとつながりました。
そういうことを、今回のインタビューであらためて感じました。
イケダさん、本当にありがとうございました。

わたしからのメッセージは、こちらです。
9月1日に子どもの命が失われないために願う「死なないで。逃げて、隠れて、休んで、どうか生きていて」

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