リカちゃんキャッスルの工房見学から見えるリアル

リカちゃんキャッスル内のファクトリー見学コーナー

リカちゃんキャッスル内のファクトリー見学コーナー


リカちゃんキャッスルは国内初のお人形のオープンファクトリーです。

オープンファクトリー、つまり、開放された工房。

リカちゃんを作っている現場を、窓から見学することができるのです。

さて、今回のリカちゃんキャッスル旅行記は、けっこうリアルなお話し。

まだ小さいお子様には刺激が強いかもしれませんので、ご注意を。


4つの工程の解説があります

このファクトリー部分を囲む2階通路部分には、お人形ができるまでの工程を4つに分けて解説しています。

音声ガイドもあるので、リカちゃんの語りで解説してもらえます。


製造工程「彩色」

製造工程「彩色」


①彩色(さいしき)


彩色のコーナー

彩色のコーナー

お人形の目、リップ、頬に色を付けていきます。

例えばリカちゃんの場合、白目、ベース、まゆ、まつ毛、黒目、ハイライト(白い線)、口紅の順に色を重ねていく…のがすべて手作業です。

彩色したい場所に穴が開いたマスクをつけて、塗料を吹き付けていきます。

最後に注射器を使って瞳の星を入れるのは、まさに職人の技。



②植毛(しょくもう)

スキンヘッドのお人形の頭に髪を植毛用ミシンで植えていきます。

これ、テレビか何かの取材で動画を見たことがありますが、すごい勢いで指を刺しそうなやつでした。

約12gの髪の毛を、外から内側に8周縫いつけていきます。

あのリカちゃんの小さな頭にですよ。8周…。

そして、専用オーブンに入れて癖をつけます。


植毛を待つヘッドたち

植毛を待つヘッドたち


ピンク髪のリカちゃん製作中

ピンク髪のリカちゃん製作中


③組立

身体の各パーツを超音波で圧着します。ドレスを着せます。


④検査

完成したお人形をチェックします。


ガランとした工房を見て思う


稼働しているのは手前のレーンだけ?

稼働しているのは手前のレーンだけ?


この時、リカちゃんを製作している職人さんは3人でした。

ちょうど、前日は神戸で出張イベントがあり、おなじみの職人さんは出かけている日です。

いつも出張イベントでは、社長さんと2~4人くらいの方が来ているので、手薄な時ではありました。

また、春休み中なので開館していましたが、通常は休館日の月曜日です。
出勤している方も少なめの日だったかもしれません。

それでも、ファクトリーを見下ろしてわかるのは、
稼働しているのは手前の部分だけという現実です。

その向こう側は普段から製造には使われていないように見えます。

きっと、旧タカラ社のリカちゃんやジェニーを作っていた時代は、フル稼働していたんだろうなぁとしみじみしました。


人形植毛ミシン「Dolly」

人形植毛専用ミシン「DOLLY」


国産のリカちゃんがおもちゃ屋さんで買えない時代に

昔、わたしが子どもだった頃は、おもちゃ屋さんで買えるほとんどのリカちゃんやジェニーは「MADE IN JAPAN」と書かれていました。

中には香港産や中国産もありましたが、それは「はじめまして」シリーズなどの廉価版でした。

それが、'90年代以降からでしょうか、徐々に中国産が多くなります。

わたしがリカちゃんをまた買った10年前には、店頭で買えるリカちゃんはほぼ「MADE IN CHINA」で、着物や浴衣シリーズ、他企業とのコラボ、株主優待特典のリカちゃんなど、ごく一部が国産=リカちゃんキャッスル製でした。

そして、10年後の今は、旧タカラはタカラトミーになり、着物も浴衣も株主優待もコラボも、大人向けの1万円以上する「LiccA」も、すべて中国産になりました。

元々はタカラ社の工場だったリカちゃんキャッスルは、タカラトミー合併の直前に、すでに独立資本の会社になっています。

タカラトミーからの大量な発注がない以上は、自力で商品を企画して制作して、販路を作っていかねばなりません。

だから、全国のファンのところへ出張販売イベントを主催し、
そこには職人さんも出かけて行ってセミオーダーも受注できるようにし、
ドールイベントやデパートの催事にも出店し、オンラインショップや東京日本橋にリカちゃんキャッスルのちいさなおみせも開設しています。

中国産リカちゃんもたしかに品質は上がってきているし、かわいがられているお人形はかわいい。


でも、やっぱり国産のお人形が持っている目の輝きや、ちいさな子どもの手にかわいがられても形を保つ髪、血色の良い肌の色などは、全然ちがうのです。

こんなに凝った和服のお人形も作ることができます。


日本髪のマリーン

日本髪のマリーン


今は知っている人だけが選んで手にできる国産のお人形。

でも、一度この工房が失われてしまったら、技術を復刻することは簡単ではありません。

そうなれば、選ぶこともできなくなってしまうのです。

お城に行くことを決めた日のつぶやきです。

だから、できるかぎりはリカちゃんキャッスル、それを運営するリトルファクトリーの皆さんを応援する意味もこめて、お買い物をしたり出かけて行ったり、こうして記事に書いてみたりしています。

自分が欲しい未来は、自分で選んでいくのです。

なんてね。

次回は「息子といっしょにお人形教室でリカちゃんづくり」

今回はつい文章が多くなってしまいました。

次回は、リカちゃんキャッスルの人気コーナー「お人形教室」編です。

7歳の息子とつくるリカちゃん。お楽しみに!


【関連記事】




Facebookページでも日々発信♪